背後にいる恩塚監督と吉田亜沙美アシスタントコーチが支えていることで、伊藤コーチも思いっきり自らの力を試し、そして5連覇という結果につなげていった。恩塚監督の指導方針が変わってから2年、新たなスタイルでも連覇することができた。ポジティブな声がけによる指導法の成果や選手たちの成長について、恩塚監督に伺った。
「まず、何のためにバスケをしているのか、自分たちのミッションを定め、そこに対するビジョンに焦点を合わせた。それによって雑念がなくなり、ブレずにプレーできるようになった。ミッションとビジョンを持つことで、それがコンパスのようになり、悪くなってもすぐに元に戻すことができる。ポジティブなエネルギーで、『私もやってみよう』と思えるロールモデルを目指している。今、暴言暴力をなくそうと言われているが、そんな指導をしなくても、選手たち自身から変えられるというエネルギーを証明できれば、バスケ界を変えられるというような思いを抱いてきた。だからこそ、勝ち負けのプレッシャーを超えた気持ちでみんなが試合に臨めたんじゃないかと思っている。そういうことが思える選手やスタッフを心から誇りに思う」
2006年、東京医療保健大学に恩塚監督自らがバスケ部を立ち上げた。10年目にインカレ決勝にはじめてたどり着き、翌年の2017年から5年連続日本一へと導いた。その間、平行して女子日本代表にも携わり、その手腕を買われて東京オリンピック後にはヘッドコーチに就任。初陣となったアジアカップで優勝し、ここでも5連覇を達成している。今年度限りで東京医療保健大学から離れるが、今後は伊藤コーチや吉田コーチの意見を尊重しながら新体制を決めていくそうだ。
「ワクワクが最強」というフィロソフィーが着実に浸透し、選手もスタッフも全てがポジティブなエネルギーでバスケを楽しんでいる。これが東京医療保健大学の伝統として、今後も紡がれていくことだろう。来年2月には大阪でワールドカップ予選が開催される。女子日本代表を率いる恩塚ヘッドコーチは、日本最高峰チームでも「ワクワクが最強」の信念を貫き、選手のポジティブなエネルギーを引き出しながら、ふたたび世界を驚かせるチャレンジが待っている。
勝利のおまじない「ワクワクが最強」東京医療保健大学が5連覇達成(後編)へ続く
インカレ2021・女子優勝:東京医療保健大学
勝利のおまじない「ワクワクが最強」東京医療保健大学が5連覇達成
前編 https://bbspirits.com/school/c21121301/
後編 https://bbspirits.com/school/c21121601/
文・写真 泉誠一