関東大学リーグ戦を10勝1敗で1位通過した東海大学は、連覇へ向けたインカレ(第73回全日本大学バスケットボール選手権大会)の第1シードとなった。そのリーグ戦で唯一、土をつけたのが大東文化大学である。しかし、コロナ禍によって満足な練習ができなかったことも影響し、調子が上がらないままリーグ戦は8位に終わった。インカレのトーナメント表を見たとき、大東文化大学の西尾吉弘監督は「ここに入るのか…」というのが率直な心象だった。2回戦で早くも東海大学と当たることになる。
春のトーナメント(関東大学選手権)は64-71で敗れたが、前述したとおり秋のリーグ戦では77-60で勝利。1勝1敗で迎えるインカレ2回戦に向け、「リーグ戦の勝利がまぐれではなかったことを証明しよう」と西尾監督は選手たちの士気を高める。立ち上がりは6-0、大東文化大学がリードして決戦がはじまった。
試合開始早々、大東文化大学は#34 バトゥマニ クリバリが、対する東海大学も#86 八村阿蓮がそれぞれ2つ目のファウルを犯し、ともにインサイドにトラブル発生。八村に代わって入った#23 佐土原遼がチームを鼓舞し、#5 河村勇輝が果敢にゴールへ向かったことで、東海大学が流れを引き寄せる。第1クォーターは12点、第2クォーターにも8点の連続失点を許し、前半を終えて25-38。大東文化大学は13点のビハインドを背負った。
#11 大倉颯太の得点で後半がスタートし、25-40とさらに引き離される。対する大東文化大学は#3 星野京介の3ポイントシュート、#1 深渡瀬海が献身的にボールへの執念を見せ、4年生が流れを呼び戻す。「まだゲームによっては波があるが、今日はかなり集中していた。彼の縦割り(ドライブアタック)はどのチームも警戒してくる」と西尾監督が言うのは、3年の司令塔#12 中村拓人である。2年前、1年生の時は兄・浩陸(現・大阪エヴェッサ)の控えとして活躍したが、昨年はケガに見舞われ出場機会はなかった。今年はチームを引っ張る立場となり、中村の活躍が勝敗を左右すると言っても過言ではない。2年ぶりに戻ってきたインカレだからこそ、「昨年はチームに対して何も良い影響が与えられなかったので、『今年こそ』という気持ちが強かったです」。
後半に入り、さらに積極的に縦へと割って入って行くプレーでゴールを奪う。前半を終えて13点あった差はみるみる縮まる。第4クォーター開始1分10秒、中村の得点で48-48と振り出しに戻す。#10 張正亮に決められ、ふたたび東海大学にリードされるが、すぐさま星野が3ポイントシュートを決め、51-50。大東文化大学が逆転する。残る時間はシーソーゲームとなり、気持ちのぶつかり合いとなった。
残り1分35秒、中村が3ポイントシュートを決め、63-61。しかし、その後のプレーで大倉に3ポイントシュートを決め返され、63-64と逆転を許す。逆転を狙った星野のシュートが外れる。リードを広げたい東海大学もシュートを落とす。しかし、そのこぼれ球を河村が拾って追加点のチャンスをもぎ取る。ファウルを受けた八村がフリースローを1本決め、63-65と東海大学が2点リードした。