緊急事態宣言が解除され、2年ぶりとなる関東大学オータムリーグ1部は有観客で開幕し、本格的なカレッジバスケシーズンが到来した。昨年の関東大学バスケはスプリングトーナメントも、オータムリーグも、ルーキーズトーナメントもすべてが中止となった。
その影響をもろに受けたのが、2年生たちである。今年のルーキーズトーナメントも開催されておらず、試合経験を積む機会が圧倒的に少ない。最上級生と3歳差ある体格差やバスケIQなど身を持って、大学バスケの違いを経験できないまま1年が過ぎ去ってしまった。試合がなくなり、練習さえもできない期間が長く続いた。そんな状況下でも、彼らはいろんな工夫をし、前向きに取り組んできた。思うようにできなかったからこそ、バスケに対する情熱が深くなってもいた。2年生たちはコロナ禍の中で何を思い、そして1年遅れでデビューを飾ったオータムリーグへの意気込みを5人に語ってもらった。
「全てにおいて良い方向に向くように意識するようになりました」
昨年の大学チャンピオンである東海大学。強豪校において、インカレのロスターに入った1年生は#5 河村勇輝、#25 江原信太朗、そして#1 元田大陽の3人。その中で一番出場機会が少なかったのが元田だった。「自分のポジション(シューティングガード)はライバルが多いので、まずはメンバーに入ってしっかりプレータイムをもらえるようにしたいです」と言うように、対戦相手はもちろんだが、チーム内の競争にも勝たねばならない。リーグ開幕戦の神奈川大学戦に出場し、4点を挙げた。「全チームと対戦できることを楽しみにしています」と意気込む。
コロナ禍によって練習できなかった時期は、「自分たちのセットオフェンスの動画を見ながら確認をしたり、チームメイトたちとどこを良くすべきかなど話し合ったりしていました」と、ルーキーにとっては東海大学のバスケスタイルを熟知する良い時間でもあった。
元田はU19日本代表のキャプテンとして、今年7月に行われたU19ワールドカップに出場。大学ではなかなか試合する機会はなかったが、それを補って余りあるほどの経験をしてきた。勝ち星こそ挙げられなかったが、20分以上のプレータイムも与えられ、7試合全てに出場。「技術的な部分もそうですが、戦いに向かっていく姿勢を前面に出していけるようにしたいです」と世界の同世代のライバルたちから学んだものを、リーグ戦に生かしていく。U19日本代表でともに戦った1年生の#3 ハーパー・ジャン ローレンス・ジュニアと#13 金近廉は、「アグレッシブにプレーし、チームの雰囲気を上げてくれています」と元田は歓迎し、早くも存在感を示していた。
昨年の春、夢と希望を持って大学に進学したにも関わらず、出鼻を挫かれるようにバスケをさせてもらえなかった。しかし、この期間をポジティブに捉え、できる限りのことを行いながら成長につなげている。「急に試合や練習がなくなったりすることもありました」と先が見えない日々ではあったが、それもまた貴重な経験となった。
「だからこそ今は、1日1日の練習や試合に対してより集中し、全てにおいて良い方向に向くように意識するようになりました」
コロナ禍により1年遅れでリーグ戦デビューを果たした2年生たち
(1)東海大学 #1 元田大陽
(2)白鷗大学 #2 脇真大
(3)日本大学 #6 野口侑真
(4)拓殖大学 #21 須藤陸
(5)早稲田大学 #13 星川堅信
文・写真 泉誠一