「リーグ戦の11試合を全て終わった先に結果が待っているだけ。その過程を疎かにしてはいけない」松島良豪アシスタントコーチ
コロナ禍によりリーグ戦が中止となった昨シーズン。代わりに行われたカップ戦で国士舘大学は2部4位となり、インカレチャレンジマッチへの出場権を得て、中央大との対戦が決まっていた。しかし、試合直前に新型コロナウイルスの陽性者が出てしまったことで棄権となり、同時に突然のシーズン終了を迎えた。
緊急事態宣言により練習もままならなかったが、二村響キャプテンら4年生が後輩たちのためにも先の見えないシーズンを全うする選択をした。インカレ出場まであと1勝に迫っていたにも関わらず、無念の引退を余儀なくされた「二村さんたちの代の先輩たちの分もがんばろう」と本多は言い、それが今年の国士舘大学のモチベーションになっている。
しかし、1部から降格してきた法政大学に80-61で勝利した先週末(9月19日)、3連勝を挙げた国士舘大学は少し浮かれていた。それを察知した松島コーチが、「ひとつ活を入れさせてもらいました」とチームを引き締める。
「リーグ戦の11試合を全て終わった先に結果が待っているだけ。その過程を疎かにしてはいけない。結果ばかりを求めてしまうと、自分たちの足元を見つめることもできなってしまう。一つひとつの練習の積み重ねによって結果はついてくるわけだから、昨シーズンから言っているように常に過程を大事にし、練習や試合に臨む前の準備をリーグ戦が終わるまでは徹底して、国士舘大学が目指すバスケットをしっかり理解して取り組もう。今はディフェンスがうまくできているのだから、それを40分間×11試合全てやり通すことができた先に、国士舘大学の未来が待っている」
松島コーチは選手たちのオフェンス能力を評価し、4年生が中心となってがんばるディフェンスを称えていた。自信があるからこそ過信をさせない杖となって、チームを支える。2シーズン目を迎えた松島コーチ自身は、「小倉監督が求めるバスケットをより一層理解することができたと思っています。また、選手と監督のつなぎ役としても、昨シーズン以上にその仕事ができています。スキルや自主練習の面で、国士舘大学のバスケットで起こり得る動きを、選手それぞれに指導しています。そこがうまくマッチできているのかなと思っています」と選手とともにリーグ戦を戦いながら経験を積み、次なるステップへと向かっていた。
今シーズンのリーグ戦は、12チームが1度ずつしか対戦がない11試合のショートバージョンとなる。敗れた明星大学にとってはリーグ戦でやり返す機会はなく、次戦へ向けて気持ちを切り替えるしかない。3連勝を飾った明治大学は10月9日に国士舘大学、翌10日に明星大学との連戦が待っており、ここが正念場となりそうだ。
今週末よりオータムリーグはいよいよ1部が開幕する。松島コーチにとっては古巣レバンガ北海道も気になるところであり、今シーズンへ向けたメッセージをいただいた。
「ヘッドコーチが佐古(賢一)さんに代わり、橋本竜馬選手という素晴らしいキャプテンがおり、新たに加入してきた選手たちとしっかり噛み合えば絶対に勝てるチームだと信じています。今シーズン、何よりも大事にしてもらいたいのは、チームの文化を作ること。それは国士舘大学も同じであり、最近いろんな方から『チームが変わったね』と言われますが、僕にとってはものすごくうれしいです。レバンガとともに良い方向に向かっていけるように、どちらのチームもサポートしていきたいです」
文・写真 泉誠一