粘り強さが足りずにチャンスを逃したもどかしい敗戦
昨年まで早稲田大学を率いていた吉岡修平ヘッドコーチを、新指揮官に迎えた青山学院大学の1年目が終わった。第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)の最終戦は古巣との対戦となり、「やりにくかったですね」と苦笑いする。62-61の接戦を制し、7位で今大会を終えた。
1回戦は東北学院大学に100点ゲーム(104-47)で快勝したが、続く中央大学戦はリードしてゲームを進めていたのに、点差を詰められて冷や汗をかいた。準々決勝、大東文化大学戦は「勝つチャンスはあった」と吉岡ヘッドコーチが振り返るとおりの試合展開だった。終盤に大東文化大学にリードされると、コート上の選手たちが自らそのギアを緩めたようにさえ感じる。「粘り強さなどがまだまだ足りていなかった」という吉岡ヘッドコーチは、練習からそれを求めなかったコーチの責任と反省する結果となった。
続く専修大学はその前日の最終試合で延長戦の末、筑波大学に敗れたことで肉体的にも精神的にも疲弊しきっていた。12時スタートであり、前日は先に試合を終えていた青山学院大学が有利な立場でもあった。しかし、最後にターンオーバーから失点を許し、62-64で勝利を逃している。最後の早稲田大学戦も引き離せるチャンスが幾度もあったが、相手につき合ってしまって自ら接戦を招いたかのようなもどかしい試合でもあった。
今年の4年生は斉藤諒馬と藤倉陽伸の2人しかおらず、この試合コートに立つのは斉藤だけであり、3年生が主体となる。3年生の保泉遼は「下級生が全体的に経験できたことが大きかったです。今年は新しいヘッドコーチになって、各々がプレースタイルの変化もあり、来年はもっと良くなっていくと思っています」と反省点も多いインカレではあったが、これを糧として巻き返しに期待したい。
日本一に導いた名将復活
青山学院大学が最後に日本一になってから、すでに9年の月日が経っている。当時の指揮官である長谷川健志氏が、アドバイザーとなって今年からチームに戻ってきた。
「ものすごい影響です。僕自身もものすごく勉強をさせてもらっています」と話すのは吉岡ヘッドコーチである。「長谷川さんはもともと細かいコーチングをされていた方です。個人の動き方や足の使い方、身体の使い方を本当に細かく見てくれています。また、トランジションオフェンスに対して、長谷川さんはコーチングフィロソフィーを持っており、それは僕にはないものだったのですごく幅が広がっています」と続け、チームに刺激を与えている。全ての試合を見ていた長谷川氏自身も、両チームの長所や短所を見極めており、データ収集に余念がない。