クラスター発生後「まずは選手を守ること」に注力
新入生を迎えてから半年が経つ10月10日、関東大学バスケは「オータムカップ2020」と銘打ち、今年初となる公式戦がはじまった。
専修大学バスケ部にクラスターが発生したのは報道された通りである。部員5名が感染し、濃厚接触者となる全員に外出禁止措置が下され、8月は全く練習ができなかったそうだ。一報を受けた佐々木優一監督は、「まずは選手を守ること」を優先する。誰が感染してもおかしくはない状況が今なお続いている中、「“(感染者が)出てしまったら悪”ということでは間違いなくありません」と断言する。専修大学だけに限った話ではない。日常生活の中にも感染する可能性は潜んでおり、コンタクトスポーツのバスケゆえにそのリスクは高くなる。いわれのない中傷などから選手たちを守ることに佐々木監督は徹し、すぐさま前向きな方向性を定めていった。
「起こってしまったことよりも、この先をどうするかにフォーカスしました。感染者が出たことで、選手たちには危機感が生まれましたが、それをバネとしてチームの結束力につなげていこうという話をしました。出てしまったことは仕方ないです。さらに拡大させないことに注力し、大学寮から離れたところでの自粛生活が余儀なくされました。その期間、選手たちにも多くのストレスが溜まっていたとは思いますが、よく我慢をしてくれました。OBからも多くの支援があり、応援してくれる人たちのためにもがんばろうという気持ちが、より選手たちにも芽生えたように感じます」
ベンチメンバーは必ずマスクを着用し、様々な対策をしながらオータムカップは行われている。昨年のリーグ戦で3位だった専修大学は、シードにより2日目から登場。東海大学に70-88で敗れたが、「アタックして行けという指示通り、選手たちは遂行してくれました」と佐々木監督は手応えを感じている。練習期間が短く、ケガ人もいる中で不安もあったが「思っていた以上に、求めていたバスケができていたと感じました」と評価し、得るものも大きかったようだ。
「勝つためにはディフェンスだ」と言い続けてきたことが実りはじめる
専修大学の体育館には「DEFENSE」「REBOUND」「TEAM」と大きく書かれている。佐々木監督は専修大学のOBとしてインカレ優勝を経験し、4年次にはキャプテンを任された。当時はウォームアップからフリースタイルのドリブルを披露し、ゲーム中も豪快なダンクで観客を魅了してきた「オフェンスが中心のチーム」というイメージが強く定着している。昨年までチームを引っ張ってきたエースの盛實海翔(現サンロッカーズ渋谷)も、オフェンスで評価された選手だった。しかし、試合後のインタビュー時には、常に「ディフェンス」という言葉を発していた。佐々木監督が、「選手たちには嫌というほど勝つためにはディフェンスだ」と言い続けてきた。
不運にもファウルを吹かれることも多かったが、それでも東海大学に負けない高い強度のディフェンスで対抗していく。選手にとって、特に専修大学を選んだ彼らにとってはオフェンスが大好物である。だが、それ以上に勝つ喜びを分かち合うためにもディフェンスが不可欠であり、歯を食いしばってきた努力してきたことが実りはじめている。