神奈川大学での4年間は「楽しいの一点張り」

ハードなプレーを見せる尾形は、オフェンスを成功させてディフェンスに戻るとき、必ずと言って良いほど不適な笑みを見せる。さらには舌舐めずりまでするほど、ディフェンスが好物だ。「元々は好きじゃなかったです。でも、幸嶋さんの下でバスケをしていくにつれて、相手を嫌がらせることが楽しくなってきました」とその奥深さにのめり込んでいく。オフェンスで相手を嫌がらせること自体は以前から好きだった。

「ディフェンスならば、さらに突き詰められると思いました。いつも笑顔になっているのは、相手を油断させたり、本当に嫌がらせるためであり、今ではディフェンスが好きです」

昨シーズンは、アースフレンズ東京Zで特別指定選手としてプロを経験したことで、「先輩たちのプレーを見て、リーダーシップの重要性を学びました」。高校時代の恩師から「プロにも行けるのではないか」と太鼓判を押されたことで、その直後に誕生したBリーグを目指しはじめる。「でも大学に入ったら、1年時はBチームで本当に大丈夫かなという不安もありました。それでも努力し続けたので、これが報われれば良いなと思います」と話しており、脚力やフットワークを武器に今後はプロの門を叩く。

「ディフェンスは大学トップ選手にも通用したと思っています。Bリーグに行っても、そこは通用する部分だと自信を持っています」

横浜清風高校は関東大会に出場する神奈川県の強豪高校である。しかし、尾形は全国の舞台に立つことはなかった。神奈川大学に入学したときは3部リーグであり、マイナスからのスタートでもあった。そこから一気に好転し、めまぐるしく環境が変わっていった「おかげで自分たちも注目されるようになり、それによって良い選手が増えました。来年も新たな戦力が入って来る予定なので感謝しています」と神奈川大学の歴史の1ページを築いたレジェンドの一人である。

足早に駆け抜けた4年間を振り返れば、「本当に新しい世界が広がり、楽しいの一点張りでした。苦しいことよりも、まわりは上手い選手ばかりですが、そういう選手たちと戦えたことで自分のバスケ観が広がったことが本当に良かったです」と自信を持って次のステージへと向かっていく。

文・写真　泉誠一