ミニバスからはじめて14年「自分のキャリアの中では大満足です」
今村は福翔高校出身であり、高校バスケに明るくない筆者でもその名を聞いたことがある。福岡県でベスト4に入れば、全国ベスト8に匹敵するほどの評価をされていた。
今村がバスケをはじめたミニバス時代は、地区予選敗退。中学では地区予選を勝ち上がったが、その次の大会で敗れて県大会には届かなかった。福翔高校でようやく県大会出場に進む。しかし、福岡第一高校と福岡大学附属大濠高校という日本一を争うチームが壁となり、全国への道を阻まれ続ける。福岡大学での3年目に、ようやく全国大会に出場することができた。
福岡で揉まれて続けてきた経験は、はじめて挑むインカレにも生かされている。「高校時代は県大会で3位になり、(福岡)第一や大濠とはずっと対戦してきました。東海大には西田(優大)、昨年の筑波大にも牧(隼利)や増田(啓介)の大濠出身選手がおり、高校時代に対戦してきた経験があったので、自分としては気持ちも作りやすかったです」と臆することなく臨めていた。試合中、「西田とは大濠高校の同級生なので、わざと立野をマッチアップさせました」と冷静に相手を見極めている。
「大濠や第一の有名な選手たちは卒業後、やっぱり関東に行ってしまいます。だからこそ打倒関東をかかげ、負けたくなかったです。福岡でずっとバスケをしてきた経験値は他とは違うぞ、というプライドがあります」
福岡大学の選手はいずれも福岡出身であり、皆同じプライドを持って戦っていた。
結果は伴わなかったが、「自分のキャリアの中では大満足です。小学校からバスケをはじめましたがひとつずつレベルが上がっていき、最後にようやく全国大会にたどりつくことができました。カテゴリーが変わるとともに目標やレベルが上がり、大学でこういう試合ができたことは自分の中ではとても満足しています」と14年間バスケをしてきた集大成を最高の舞台で終われた今村は、清々しい表情でコートを後にした。
東海大学は2回戦でも福岡にある九州共立大学と対戦。九州1位を相手に74-54で勝利しベスト8進出を決めたが、九州共立大学も少なからず爪痕を残した。お互いにチャンピオンを超えることはできなかったが、バスケ王国福岡のプライドを示すことはできたはずだ。
文・写真 泉誠一