2部への降格を免れたものの、リーグ戦では負けることの方が多かった早稲田大学と神奈川大学は、気持ちを切り替えて臨まなければ足元をすくわれてしまい兼ねない。いずれも関東の中では小さいチームである。早稲田大学と対戦する天理大学には、200cmの川真田紘也(徳島城南高校)をはじめ、黄杲路(岡山工業高校)とディアラ・イソフ(福岡第一高校)も195cmと高さで上回っている。早稲田大学は、ケガによりリーグ戦途中で戦線離脱した193cmの津田誠人(洛南高校)の復帰がカギを握る。
名古屋学院大学にも198cmの王ウェイ嘉(中部第一高校)のビッグマンがおり、1年生の工陸都(高岡商業高校)しか190cm台がいない神奈川大学は関東リーグ戦と変わらぬ劣勢に立たされるかもしれない。昨シーズンともにアースフレンズ東京Zで特別指定選手となった鈴木空(名古屋学院大学/桜丘高校)と尾形界龍(神奈川大学/横浜清風高校)は直接対決となる。
関東2位の専修大学だが、大阪学院大学との初戦は集中して入らねばなるまい。昨年の2回戦で対戦しており、88-61で専修大学が勝利した。しかし、一度対戦した経験は大きく、その戦いを踏まえて大阪学院大学も準備してくるはずだ。昨シーズンの特別指定選手として大阪エヴェッサでプレーした吉井裕鷹(大阪学院大高校)と、専修大学の西野曜(近大附高校)の3年生同士のマッチアップを楽しみにしたい。
U20日本代表コーチ同士の対戦となる大東文化大学(西尾吉弘監督) vs 大阪体育大学(比嘉靖監督)。平均身長186.9cmを誇る第一シードの大東文化大学に対し、大阪体育大学は関西代表の中では最下位となる5位であり、平均身長180.5cmの小さなチャレンジャーだ。しかし、世界に出れば日本は小さい。国際大会を視野に入れて強化してきたのと同じく、比嘉監督の戦術や戦略が大きな相手にどこまで通用するかが試される。
関東勢ではないが、唯一の初出場校である札幌学院大学も注目したい。藪慶太朗(北海高校)、皆川悠太(札幌創成高校)、佐藤拓摩(倶知安高校)、齋藤将人(札幌あすかぜ高校)と4人の190cm台を揃える。インカレデビュー戦は、東海1位の中京大学に挑む。
身長や経験値の差はあれど、いずれも同じ大学生である。勝負に絶対はなく、初戦は何が起こるか分からない。第3者として、勝手に波乱を期待してしまうのもトーナメントの醍醐味だ。全国を網羅する勢いでBリーグクラブが数多あるからこそ、各地を代表する大学生の活躍を期待し、その背中を押すようなエールがあればインカレはもっと注目されるだろう。NCAAマーチマッドネスでは、NBAチームに所属するOBたちの大学時代の写真や映像を使いながら、アピールしている。
文・写真 泉誠一