個人的には目立たなくても良い
大東文化大学の西尾吉弘監督は、男子U22日本代表のアシスタントコーチも担う。フリオ・ラマスヘッドコーチが指揮する男子日本代表を頂点に、一気通貫の強化を取り組んでおり、若い世代にはサイズアップとポジションアップが課されている。西尾監督は今シーズンより、190cmの飴谷由毅をポイントガードとして起用しはじめた。しかし大東文化大学には4年生の中村浩陸と1年生の中村拓人の兄弟ポイントガードがおり、一緒にコートに立つ時間帯も多い。それを解決すべく、ポイントガードからスモールフォワードまで、ペリメーター陣がどんどんボールを運ぶスタイルは、日本代表につながるものを感じた。
「僕や後藤(大輝)さん(4年/スモールフォワード)のように少し大きい選手でもプッシュすることができれば、なだれ込むようなオフェンスから点数を獲ることができます。ガードだけに任せることなく1〜3番まで全員がボールをプッシュし、走るバスケットが今の大東です」と飴谷が言うように、リバウンドからトランジション速くオフェンスにつなげたことで筑波大学に74-63で走り勝った。
昨シーズンのリーグ戦は平均6.5点、インカレは平均7点とスタッツだけを見れば平凡な選手である。このリーグ戦も6試合を終え、平均6.8点、5.8リバウンド、1.5アシストと特筆すべきものはない。「個人的には目立たなくても良いので、チームのためならば泥臭いことでもなんでもしようという自覚が今はあります」と言うのが、飴谷の特徴でもある。
球離れが良くなり、状況判断が急成長していると感じた。9月14日の筑波大学戦ではまわりを生かす5アシストとともに、10リバウンドを獲ってチャンスを作った。翌15日の法政大学戦では一変し、14点を挙げて勝利に貢献している。昨年までは良くも悪くも強引なプレーが多かったが、「その部分は一歩成長したかな、と自分でも思います」と自覚しており、視野が広くなったことでプレーの幅も広がっている。
「目指しているところは大学バスケだけには留まらないので、もう一つ上のステージに上がりたいと思っています。献身的にこなしつつ、自分の成長につなげていきたいです」