NBAだからといってファンダメンタル(基礎)が変わるわけではない
練習内容はパスやシュートのドリルから、ドライブ~ペイントアタック~キックアウトを意識しながら3~5人のフォーメーションドリル、逆にそのオフェンスを止めるディフェンスなどなど午前と午後の2部構成で、いずれも2時間を超える熱い指導だった。「NBAだからといってファンダメンタル(基礎)が変わるわけではありません。どのレベルであってもすべてはつながっており、同じ要素です」とケーシーコーチは言う。きっと見学するコーチの中には、同じ練習をしていると思って見ていた方も多かったことだろう。だが、NBAこそ基本を忠実に、さらに細かく突き詰めている。
2シーズン前、ラプターズ史上最多となる59勝23敗を挙げてコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したとき、「今日のクリニックで行った要素をブラッシュアップしたことで、すごく強いチームになりました」と極限までシンプルなバスケを心がけたことで、一気にチームを向上させた。しかし、その後のプレーオフ カンファレンスセミファイナルでクリーブランド・キャブスにスウィープ(4連敗)され、ケーシーコーチは解雇されてしまう。「ラプターズで苦労したことはたったひとつです。レブロン・ジェームズが同じカンファレンスにいたことでした。2年連続プレーオフ カンファレンスセミファイナルで壁となり、それが一番大変でした。私が去ったあとにレブロンは西へ移籍してしまいましたが…」と笑いを誘った。天敵がいなくなった昨シーズン、ラプターズが初優勝を飾ったのはご存じのとおりである。
ピストンズを2年ぶりにプレーオフへ引き上げたファーストシーズンは上々の滑り出しと言える。「ラプターズ同様にこれからステップアップできるチームだと確信しました。さらに、ピストンズにはグリフィンというすばらしい選手がいます」とオールスター選手を軸に、来シーズンはさらなる飛躍を目指す。