考えすぎてしまい、存在感を失った準々決勝
春のトーナメント(第68回関東大学バスケットボール選手権大会)で初優勝を飾った白鷗大学。1年生の関屋心は、勝ち上がる度にプレータイムを伸ばしていった。網野友雄ヘッドコーチは、「上(プロ)につながる素材」と高く評価している。「パスのビジョンもあり、フィニッシュ力もある」とオフェンスでは目を見張るものがある。しかし、「まだ遠慮している部分があり、どのタイミングで1on1をして良いのかというところをまだつかみきれていない」と課題も多い。
第59回関東大学バスケットボール新人戦「ルーキーズ・トーナメント」では全試合スタメンで出場した関屋だったが、逆転負けを喫した準々決勝・日本体育大学戦は存在感を失い、大事な試合終盤はベンチで過ごしていた。
「勝負どころのプレーで弱気になってしまって、シュートの確率も悪く2点しか獲れず、自分の持ち味も全然出せなかったです。何をすれば良いのかが分からなくなり、点を獲りに行けば良いのか、走って合わせれば良いのかなどいろいろと考えすぎてしまって、先輩たちに任せっきりになってしまったのは反省点です」
自分を見失っていた関屋に対し、「なぜ積極的に攻めない?」「お前の持ち味は得点力だろ!」と4年生から言われ、「攻められると思ったら、自分のタイミングで積極的にいけ」と網野ヘッドコーチも発破をかけた。愛ある檄のおかげで、「強気で行こう」と気持ちを切り替え、「自分の調子が戻ってきました」。翌日の関東学院大学戦は16点を挙げ、最終日の日本大学戦も最初から積極的にゴールへと向かっていった。
「多少強引でも攻めて、最初に得点が決まれば勢いに乗ることができる」と自らのリズムを作ったことで、「最後は自分なりに楽しんでプレーできました」。春のトーナメントを制した白鷗大学ゆえに、上級生からは「新人王を狙っていけ」と期待されたが、ルーキーズ・トーナメントは5位に終わる。結果よりも、大学バスケを歩みはじめた中で様々な課題が明確になったことの方が大きかった。