佐々木優一ヘッドコーチ(専修大学)
特に2年生には「自分たちの代なので簡単にやられるな」「プライドを持って戦っていけ」と伝え、リーダーシップを発揮してもらいたかった。1年生はルーキーらしく、ミスを恐れずに思いっきり戦えばそれで良い。練習中からミスを恐れずに自分が持っているものや、やりたいプレーをとにかく積極的に出すように言っている。ただ、ディフェンスに関してはルールを設けて、自己中心的ではないプレーを意識させた。その中で、オフェンスは自由に走って積極的に攻めて良い。選手たちもそれを理解し、出る選手が次々と自分の役割を理解し、その力を発揮してくれたのは良かった。
陸川章ヘッドコーチ(東海大学)
もう20歳を超える年になるわけだから、「ここからは全てが自己責任」「何かあっても自分の感情をコントロールしなさい」と伝えていた。どうしても若い選手なのでエゴが出てしまいがちであり、それで当然いいのだが、チームが勝つためには個人のエゴではなく、チームのエゴにしなければならない。うまくいかずにふてくされた態度でベンチに戻ってきたら「良い雰囲気にならないよ」とか、精神的なことを口酸っぱく言い聞かせていた。だいぶそのような振る舞いが浸透してきたなと感じる。
(石崎巧や竹内譲次ら黄金世代時と今の2年生を比べて)分からないが、石崎たちの方が大人だったかな。でも、今の選手たちの方がバスケットをよく知っている。この子たちは素直に子どものままでバスケが大好きなので、すごくおもしろい。もちろん、石崎たちの代のときも楽しかった。時代時代によって、違うのかなと思う。でも、新人戦は楽しい。「えー!」と驚くような良いプレーがあれば、「おー、うそ!?」というようなおかしなプレーもあるが、そこが一番楽しい。
準決勝の日本体育大学戦でインサイド陣がファウルトラブルとなった東海大学だが、決勝では我慢したことで佐土原遼は29点を挙げた。敗れた専修大学も準決勝でミスした試合の入り方を修正し、好スタートを切ることができた。3位の筑波大学のエースは二上耀と吉田ヘッドコーチが名指したとおり、最終戦は29点をマーク。しかしその二上も「昨日が悪かったので」と反省したことで、活躍につなげている。
感情をむき出しにしながら、ムキになって戦う姿に心を躍らされたルーキーズ・トーナメント。今大会の経験が早ければ秋のリーグ戦から発揮し、新たなスター誕生が待たれる。しかし、慌てる必要もない。4年間ある大学の最後に開花すればそれで良いのだ。仮に大学では花開かなくとも、その後も続けたくなるほどバスケを好きになって欲しい。Bリーグを目標にする選手も多く、目の前のスタッツだけではなく隠れた才能を見極め、大学からプロへと育成をバトンタッチできる環境が求められる。
文・写真 バスケットボールスピリッツ編集部