2部リーグの磨けば光る原石たち
2部リーグから来年の1部昇格を決めた法政大学は、同時にインカレへの出場権を得た。名門・洛南高校出身、198cmの#24鈴木悠介選手(3年)はBリーグ入りを想定し、スモールフォワードのプレーも随所で見せる。「プロでは3Pシュートがなければきついですし、ドリブルも使ったプレーも身につけなければいけない」と将来を見据えて取り組んでいる。ディフェンスでも「ミスマッチが起きたときは、ガード陣をしっかりマークできるようになってきました。まだまだ完璧ではないので、しっかり上のレベルを意識していきたいです」と意欲を見せる。鈴木選手にとっては初のインカレであり、新たなるライバルたちとの真剣勝負を楽しみにしていた。
「ベスト8までいけば最終日まで試合することができます。関東のビリ(12位)で出場する法政に期待している人はあまりいないと思いますが、ジャイアントキリングできるようにがんばります」
インカレには出られないが、2部リーグの得点王となった#29細川一輝選手(上武大学3年)も楽しみな存在である。186cmながらフィジカルが強く、3Pシュートは60本成功させてリーグ2位。千葉ジェッツの原修太選手を彷彿させる。一関高校3年次は毎試合20点ほど決めていた得点センスの持ち主。上武大学では2年生から先発で起用されていたが、昨シーズンは絶対的ポイントゲッターのマーテル テイラーバロン選手がファーストオプションだったため、そこまで目立つことはなかった。しかし、得点源がいなくなった今シーズンは「外角シュートを武器にしながらドライブを生かせるようにしています」とバリエーションを増やし、平均20.2点を挙げて得点王に輝いた。上武大学は3部から昇格したばかりのチームである。
「はじめての2部で最初はどこまでできるか分かりませんでしたが、今は戦えるという手応えを感じられています。通用する武器を考えながらステップアップし、一戦一戦を通じて成長することができました」
降格した拓殖大学の#24荒川颯選手(3年)は、来年は2部リーグでの戦いを強いられる。「Bリーグにも2部で活躍していた選手がいますし、この先もバスケを続けていく上で『2部だから先がない』というわけではないと思っています。今後のバスケ人生に少しでも良い影響を与えられるように2部でがんばっていきたいです」と環境を言い訳にせず、這い上がってくることだろう。
すでに4年生は目星をつけられていると冒頭で紹介したが、それはあくまでGMがいるチームの話。その役職を専任に置くクラブはけっして多くない。12月10日(月)より開幕するインカレ期間にも水曜ゲームがあり、過密日程のBリーグゆえにどれだけスカウトが来るかも分からない。有望な選手を迎え入れるため、プロを夢見る学生たちのためにも、強化スタッフ自身がその目でしっかりと見極めて欲しいものだ。
インカレ(第70回全日本大学バスケットボール選手権記念大会)
文・写真 泉 誠一