下部リーグからはい上がるため、自信回復から着手
昨年、昇格したばかりの法政大学が関東大学バスケ2部リーグを2位で終え、1部への自動昇格を決めた。現在の4年生たちは、毎年違うリーグでの戦いを経験してきた。1部時代を知る#5玉城啓太選手(4年)は「チーム自体があまり良い状況ではなく、そのまま2部に落ちてしまった状況でした」と1年生だった当時を振り返る。#24鈴木悠介選手ら3年生にとっては「入学を決めたときは1部であり、その舞台で戦うものだと思っていました」。しかし、蓋を開けてみれば2部リーグからのスタート。1勝17敗、かつての1部チームは見る影もないまま3部へと滑り落ちていった。同時に選手たちが自信を失っていったのも無理はない。
長きに渡ってアシスタントコーチを務め、3部になった昨シーズンからチームを再建してきたのが佐藤俊二監督である。「1部でも通用する選手たちであり、自信をつけさせる」ことから着手した今シーズン。法政大学の主力は、本来であれば1部で戦うことを見越してリクルートしてきた3年生たちである。#6中村太地選手は今夏、日本代表としてアジア競技大会に出場し、#30水野幹太選手とともに1年のときから特別指定選手としてBリーグのコートに立ってきた。他にも「フィジカル面でも技術面でも優れている選手が多い」と佐藤監督が信頼を寄せるタレントが揃っている。
高校時代は全国の舞台で日本一を争ってきた彼らにとって、3部や2部での物足りなさを感じるのは当然であり、玉城選手もそれを認めている。鈴木選手は「序盤は競った試合が続き、日体大に負けたあと(9月19日●62-87日本体育大学)、順天堂に負けてしまったり(9月23日●68-71順天堂大学)、集中力が欠ける欠点が出てしまいました」ともどかしさを感じていた。下部リーグでくすぶっているようなチームではない。後半戦は奮起し、「練習中から選手同士が言い合ったことで集中力が高まり、後半は良い試合ができるようになってきました。ディフェンスを見直し、オフェンスはみんなで意見を出し合って工夫したことが勝ちにつながったと実感しています」と鈴木選手が言うようにスタイルが確立しはじめている。玉城選手は3年前と比較し、「今回は僕らが2部から1部へ押し上げた勢いがあります」。自信を回復した法政大学が、輝きを取り戻し始めている。
バラバラなタレント軍団をまとめあげ、いざインカレへ!
3年前のインカレでは札幌大学を96-88で破り、1回戦を突破。しかし、優勝した筑波大学に53-88で敗れて2回戦敗退。32チームが集う全国の舞台では2回戦を突破し、ベスト8に残ることができれば、順位決定戦が行われる最終日まで試合は続く。玉城選手は、4年生として良い置き土産ができるように「来年の1部での戦いに向けても、インカレでは多くの経験を積ませたいです」。後輩たちの能力を高く評価する反面、「一人ひとりがまだバラバラの方向を向いており、そこは4年生の僕がまとめていかなければならないです」と課題は明確だ。「高い目標を持って臨めば自ずと集中力が高まり、チーム一丸となって戦えることは分かっています」というタレント軍団をまとめ、インカレの舞台での本領発揮に期待したい。
佐藤監督も選手たちの力を信じ、常々「日本一になりたい」と高い目標と説いてきた。昇格が目先の目標になっていたこれまでとは違い、今は明確な目標に定められる位置にたどり着いた。しかし、最終戦の順天堂大学戦を見ても、1部リーグと比較すればプレーの強度も精度も見劣りする。日頃から1部の映像を見ている鈴木選手も、「確かにまだミスが多く、1部との戦いではそれが命取りになります。今年の春のトーナメントでも白鷗大学戦(●60-71)はミスから点数が離されてしまい、追いつくことができませんでした。インカレまであと1ヶ月あるので、練習から見直して精度を高めていかなければならないです」と新たな目標に向かって走りはじめた。
関東大学2部リーグ
1位 日本体育大学(20勝2敗)
2位 法政大学(18勝4敗)
3位 駒澤大学(14勝8敗)
4位 国士舘大学(13勝9敗)
5位 慶應義塾大学(12勝10敗)
6位 江戸川大学(12勝10敗)
7位 順天堂大学(11勝11敗)
8位 東洋大学(11勝11敗)
9位 上武大学(8勝14敗)
10位 明星大学(6勝16敗)
11位 立教大学(4勝18敗)
12位 埼玉工業大学(3勝19敗)
文・写真 泉 誠一