関東大学女子リーグ戦の組合せは昨シーズンの順位によって進んでいく。ゆえに前年の優勝校・東京医療保健大学と2位・早稲田大学が最終節で相まみえる。卒業と入学がある学生チームは必然的に選手の入れ替えが生じ、昨年の成績が絶対ではない。幸い、全14試合中8試合が終わった時点でベスト4は前年と同じく、9試合目からは図ったように4強同士によるクライマックスへの扉を開けた。
前年チャンピオンであり、その後のインカレで初の日本一に立った東京医療保健大学はすでに(6勝)2敗しており、3位で9試合目を迎える。直前の試合で白鷗大学が全勝の早稲田大学を破ったことで、東京医療保健大学にとっては首位との差を縮まられるチャンスでもあった。しかし結果は、5勝3敗の1ゲーム差で追いかける専修大学に足元をすくわれてしまう。
「センターのところでピックを使って攻めるという指示だったので、思い切ってシュートを打ちました」
劇的ブザービーターを決めた専修大学4年#3渡部友里奈選手。後半からアグレッシブにゴールに向かい、27点を挙げた渡部選手の強気なプレーが勝利を呼び込んだ。
専修大学は渡部選手(平均19.1点)とともにキャプテンの#34千葉歩選手(4年/平均18.4点)、#59秋元文香選手(2年/平均15.7点※いずれも10月14日現在)のフォワード陣が得点源である。しかし、東京医療保健大学戦は「センターのところを突いていこう」と取り組んでいた。熊倉菜々子選手(3年)が14点を挙げ、チームを勢いづけたことも勝因だった。
得点を獲ることがこのチームでの役割でもある渡部選手だが、「今シーズンはこれまでその期待に応えられていませんでした」と振り返る。
「リーグ戦の前半でチームのみんなに迷惑をかける場面が多かったのでどうにかしなければ、何かのきっかけでターニングポイントを作らないといけないと思っていました。それがこの試合になるような感覚がありました。しっかりシュートを決めきることができ、最後までゴールにアタックできたことが良かったです」
翌日の2戦目は、2度の延長戦にもつれ込む熱戦となる。ふたたび84-83で勝ち切った専修大学が、7勝3敗で単独3位に浮上した。
児玉監督とともにベンチで指示を出すのは、かつてJALラビッツを皇后杯優勝に導き、新潟アルビレックスBBラビッツの初代ヘッドコーチを務めた荒順一氏だ。昨シーズンからアドバイザーとなり、今シーズンからベンチに入っている。「これまではセットプレーが多かったですが、それでは勝てませんでした。荒さんから速攻を加えたり、ブレイクにつなげたりするアドバイスがあり、しっかり噛み合うようになったことで良いオフェンスができるようになったと思います」という助言が功を奏し、花開きはじめている。何よりも、「チームの雰囲気が一気に明るくなりました。荒さんがベンチにいてくれるのは心強いです。プレーしていても安心感があります」。
次節(10月20日-21日@浦和駒場体育館)は首位の早稲田大学との2連戦が待っている。ゲーム差は『2』。シーズン中は自分たちが定めた目標を見失いそうになったが、この2連勝をターニングポイントとした渡部選手は、「もう一回チーム一丸となり、優勝という目標を掲げ直してがんばりたいです」と自信を持って挑む。
10月14日終了時点の順位表
1位:早稲田大学(9勝1敗)
2位:白鷗大学(8勝2敗)
3位:専修大学(7勝3敗)
4位:東京医療保健大学(6勝4敗)
5位:筑波大学(4勝6敗)
6位:拓殖大学(4勝6敗)
7位:日本体育大学(1勝9敗)
8位:松蔭大学(1勝9敗)
文・写真 泉 誠一