「黄金時代に比べてレベルは落ちたとしても、チーム力を上げて泥臭く勝っていけたらと思いますし、当時は魅せるという面で唯一無二の存在だったと思うんですが、そういうところも出せるチームにしていけたらと、少なくとも私は思ってます。20年の節目を機に私が変わってもいいですし、他にそういうキャラが出てきてもいいと思います。ファンを惹きつけ、皆さんに応援されるチームでありたいです」
そんな考えに至るのはやはり、チームに対する感謝の意から。勉族に加入して以降、3×3.EXE PREMIERにも活躍の場を持ったアララライは、バスケットと向き合えている今の環境のありがたみをひしひしと感じている。
「勉族に入ったからこそ高いレベルでやろうと思うようになって、3×3にも出会った。入ってなかったら、たぶんバスケットもやってないと思うんです。プレーでダメだったときは、ぬまさんから貰う一言で気が晴れるので、本当に感謝しかないです」
ぬまもまた、そういう若手を見て「僕も仮エースも、当時はみんな大学の体育会系でやってきたけど、今は高校で1回終わったヤツが多い。でも魂はあるわけで、彼らみたいなヤツにもこういう場所があるっていうことに気づいてくれれば嬉しい」と、ストリートならではの新しいストーリーを描くことも意識している。
最後に、「これ、書いといてほしいな(笑)」とクギを刺された話でこの稿を締めたい。このイベントでケリをつけることも脳裏には浮かんだと言いつつ、かえってボーラー魂に火がついたというぬま。24歳で立ち上げ、20年に及ぶ勉族での活動がもはやライフワークであることは言うまでもないが、メンバー構成以外何も変わらずに続けてきたその裏には犠牲にしてきたことも数多くあった。妻子を持つ身であれば、尚更のことだ。
「これだけ長くやってりゃ、正直家族にも迷惑をかけてるかもしれない。今日だってゴールデンウィークの真ん中ですからね。一番はやっぱり、家族への感謝です」
文・写真 吉川哲彦