〜序章〜より続く
20年目を迎えたストリートバスケ祭「HOOP IN THE HOOD」(以下HITH)。記念大会だからこそ、1日限りで初代チャンピオンのFAR EAST BALLERS(以下FEB)がゲスト参戦。FEBもまた、20年前に誕生。1997年から横浜で活動し続けているTEAM-Sをはじめ、同じく20周年を迎えた勉族、SUNDAY CREWらライバルの存在がこのシーンを飛躍させたのが、2000年代のことである。
2023年5月5日、FEBとして最後の真剣勝負。さすがこのシーンを牽引するHITHであり、TEAM-Sを1回戦にぶつけてきた。現在進行形で活動するTEAM-Sは、bjリーグ時代の高松ファイブアローズでプレーしていた鈴木正晃 a.k.a. K2Oがおり、選手をアップデートしている。チームをまとめるANちゃんは、出場権を勝ち獲ったHITH予選で活躍したアラフィフボーラー。45歳、衰え知らずのSHINPEIは「今のTEAM-Sは一生懸命練習し、真剣にやってきているからこそ、絶対に負けちゃいけなかった。FEBはリスペクトしているけど、そこで圧倒できるくらいチームとして練習してきたつもりだったのに負けてしまって、めっちゃ悔しいぃ」と叫ぶ。敗戦後、TEAM-Sのミーティングは延々と続いていた。FEBとの差に対し、「修羅場をくぐってきた数が違うのかなぁ。競ってきたときに気持ちの強さがやっぱり出ていた」とSHINPEIは振り返る。話を聞き進めていけば、ふたたび悔しさが込み上げてきた。
「やっている以上はマジで負けたくない。同世代だけにマジで悔しい。俺の方が絶対に練習しているけど、とにかく練習しないとっ!」
対するFEBは、ライバルとの1戦に全集中していた。HITHへ出場した4人のうち、前編はMATSUとKUNIOがこの戦いを振り返る。
MATSU a.k.a. ROCK YA BODYはリズムを刻むハンドリングと、リバウンドをそのままゴールへねじ込む跳躍力が魅力。KUNIO a.k.a. PICK UPの印象は、常にサングラスをかけ、FEBの一番後ろを歩くボディガードのような存在。怖い見た目とは裏腹に(笑)、当時は某音楽レーベルに勤務し、実はしっかり者。交代のいない4人だけで臨んだHITHでは、躍動するKUNIOを存分に見ることができた。
「最後のつもりで来たので、これで終わりで全然構わないですよ」MATSU
今回集まるきっかけがATSUSHIさんであり、MIKOさんがLINEとかいろんな形で常に連絡してくれているので、俺もFEBとして何かしてあげたいという思いがずっとあった。最後のつもりで来たので、これで終わりで全然構わないですよ(笑)。
今回はもうTEAM-S戦にしかフォーカスしていなかった。だから、そこで勝てたのは良かったけど、2試合目はちょっと反省すべき点がいっぱいありましたね。全然集中してなかったなぁ。スイッチ入んねぇなぁ、って思うくらいTEAM-S戦に集中しちゃってました(笑)。でも、それぞれが良い活躍をしていたし、気持ちがノっていたと思いますよ。そんなにバスケをしているわけじゃないクニちゃん(KUNIO)を、プレーしている途中にパッと見たら、顔面蒼白で「大丈夫か?」ってこっちが心配になっちゃった(笑)。でも、ホントに先輩は奮起したッスよ。