2月17・18日に開催された第9回3×3日本選手権で、女子優勝を果たしたのは千葉県代表として出場したboldiiies(ボールディーズ)。Düsseldorf ZOOSを自ら立ち上げ、FIBA 3×3 Women’s Seriesに参戦した桂葵と、そのチームメートであるアマ・デグビオンに、国内の3×3草創期から長くプレーしている浅羽麻子と大橋実奈がジョインしたチームだ。決勝はYOKOHAMA G FLOWという難敵に相対し、序盤から追う展開が続いたものの、残り1分26秒にリードを奪うとその後は無失点で切り抜け、頂点に立った。
大会MVPに輝いたのは浅羽。TEAM HUSTLEの一員として出場した昨年の第8回はファイナルでKO勝利まであと1点としながら、そこから5点を連取されて優勝を逃すという苦い記憶があっただけに、「個人的には去年の逆転負けのリベンジでもあったし、アマが日本に初めて来たときにG FLOWに負けてて、そのリベンジでもあったので、絶対に優勝したかったというのがあった」と胸をなで下ろした。
FIBA 3×3 Women’s Seriesの2シーズン目を終えて帰国した桂や前田有香と合流したのは昨年の夏。ちょうど浅羽は、大橋とともに新しいチームを探しているところだった。チームとしてはまだ日が浅いが、百戦錬磨の面々が揃っているとあって、チームワークは順調に構築されていった。このファイナルに関しても、浅羽は自身の活躍を「MVPを貰えるほどのパフォーマンスじゃなかったと思う(笑)」と謙遜し、チームケミストリーにフォーカスしたことを強調する。
「最初はファウルを取ってもらえなかったんですけど、とにかく自分たちのやるべきことをやれば勝てると信じて、劣勢でもちゃんとみんなと目を合わせてプレーしました。途中から、アタックしたら笛が鳴るようになったので、そこでフリースローを確率良く決められたのが大きな勝因かなと思います」
「私は結構年齢もいっちゃってるので、『いつが最後の試合になるかな』と思ってプレーしてるんですけど」と語る浅羽は、「有香さんと葵の3×3に対する意識は尊敬してるし、『私ももうちょっと上手くなろう』と思わせてくれた」と新しいチームメートに感謝の意を示す。そして、「アマは日本人っぽいところがあるというか、すごく謙虚だし、すごいハードワーカー。話すと面白いユニークさもあるし、私よりも上のレベルでプレーしてる選手だと思うんですけど、誰に対してもリスペクトを持ってる。アマの人間性はすごく大きかったなと思います」とデグビオンを絶賛。「そういう出会いが自分にとっては大きいです。世界で戦ってきた人たちと一緒にプレーできるのも『ずっと続けてるとこんな良いこともあるんだな』って、すごく光栄です」とチームメートに恵まれていることを強く実感している。
しかし、そんな浅羽も他の選手から敬意を集める存在だ。日本選手権7回目の出場は、女子では歴代最多。過去に在籍したQUEEN BEEで2度の優勝経験もあり、日本の女子3×3界を牽引してきた選手の1人であることは疑いようもない。3度目の優勝にしてMVP初受賞というのがむしろ意外なくらいだ。
大橋も含めて「あの2人が私やアマとやることを選んでくれて、一緒にやって良かった、楽しいバスケットだなと思ってくれたらいいなと思っていた」という桂も、浅羽のMVP受賞を「めちゃくちゃ嬉しいです」と喜び、「麻子さんのことは3×3云々以前にストリートボーラーとしてリスペクトしてるし、環境が整ってない頃から自分のバスケットのスタイルを持ってて、いろんなシーンにチャレンジしてきて酸いも甘いも知ってる人。ここで見せないと次がないというのも経験してきてるから、勝負強さはすごいと思います」と賛辞を惜しまない。