「今現役でできてるのも、洋介さんに人生を変えられたからです。教える上で説得力を持たせることも必要だというのは洋介さんを見てても思いますし、プロとして自分のプレーを見せながら教えるというのが子どもたちにも響きやすいかなと思います。
洋介さんほど子どもたちやバスケ界全体のことを考えてバスケできてるかといったらそうじゃないかもしれないですけど、今までずっとバスケをやってきた自分にできることは、育成世代に還元すること。そこは自分のモチベーションになってます。『バスケは楽しい』って子どもたちに思ってほしいというのが一番。育成世代を指導する意味って、バスケを将来につなげてあげることだと思うんですよ。教えた子がプロになってくれればそれが一番かもしれないですけど、まずその前に、バスケを楽しめて長く続けられることが一番良いことだと思ってます」(長縄)
「やっぱり洋介さんと一緒にやって、バスケ人生は変わりましたね。あの人、バスケをすごく研究されてるというか、キモいくらいバスケが好きなんですよ(笑)。そういう温度感の所で学べてるのは大きいです。
TOKYO BBでめちゃめちゃ勝ちにこだわってたときって般若みたいな顔してたんですけど(笑)、そこから離れてバスケをやってたら笑顔が増えて『あれ、何か私変わったな』って思ったんです。もちろん、勝ちにこだわるのは悪いことじゃないんですけど、こうやって子どもたちと一緒に純粋にバスケを楽しんだり、子どもたちが成長する様子を見て、やっぱりこれだよなって。
この年齢までプレーすることは想像してなかったですけど、その環境をいただけてることに感謝ですし、それをコートで表現して、還元もしていきたい。後で振り返ったときに納得できる人生であるために、今しかできないことをしっかりやりきりたいですね。もちろんRim Townはその一つです。私がきっかけでバスケが好きになったとか、バスケというツールを1人でも多くの人がポジティブにとらえてくれたら、めちゃめちゃ幸せな人生だなと思えるので」(有明)
長縄によれば、三郷校がある埼玉県南東部エリアは昔からミニバスチームが多く、近年は中学生もU15のクラブチーム化で選択肢が増えている状況だという。「そこにRim Townのようなスクールも出てきて、アルファーズがB1に昇格してバスケットを見に行く文化もできてきたので、バスケットとの関わり方が自分が小さい頃とは段違い」と、バスケットが盛り上がる下地は相当にありそうだ。3×3のプロチームも急速に増えてきたこの一帯からは、いずれプロの世界に飛び込むRim Town出身の選手も出てくるかもしれない。そのためにも、最後は齊藤からRim Townに我が子を通わせている保護者へのメッセージを記しておこう。
「僕は3カ月スパンで考えてて、上手くなる時期がどこかの3カ月で急に来るんです。『こんなことできるようになってるじゃん』っていうのがいきなり来るのが、見てて楽しいんですよね。毎回の練習の中で、コツがどこかに落ちてるので、それを拾えるかどうか。親御さんには、その時期が来るのを根気強く待ってほしいです。あと、僕が好きなのが、僕が喋り始めると親御さんが自主練用に動画を撮るんですよ。それを見るともっと一生懸命やらないといけないなって思いますし、期待に応えたいです。自分のことも応援してくれるので、エネルギーに変わります」
株式会社Nevele 代表 齊藤洋介
コートを離れた3×3トップランカーの今
(前編)https://bbspirits.com/other/3×3/3x25082901sty/
(後編)https://bbspirits.com/other/3×3/3x25090102syk/
文・写真 吉川哲彦