もちろん、プレーしているからには勝ちたいと思うのがアスリートの性。今回のSpreads GameではGIVERSに力の差を見せつけられてしまったが、「前回対戦したときは、そもそもアークの外にも出させてもらえないくらいだったので、そう思うと戦えるようになってきてる」と成長は感じられている様子。「3×3はやってすぐ上手くなる競技じゃない」ということを理解し、一歩ずつ前進していくことを意識している。
「結果を残したいとは思いますけど、すぐには出ないと思います。でも、若い子たちは私の言うことも素直に聞いてくれるし、TEAM HUSTLEのメンバーにも協力してもらいながら、できる限り出し尽くして、みんなで全体の力を上げていけたらなって思います。頭を使って工夫して、他のチームに勝てるように頑張ります。
今も負け続けてるわけじゃないし、勝てる相手には勝ってるので、今負けてる相手にどうやって勝つか。技術的なところはなかなか簡単ではないですけど、戦術的な部分では見込みがあるかなと思いますし、10分間しかないので、シュートが入ればチャンスがあるという面白さもある。そのチャンスを狙っていきたいと思います」
そこにキャプテンとしての責任感を持ち合わせていることは言うまでもないが、「大阪でもチームを作りましたし、東京に来てからもストリートのチームを自分で立ち上げたので、一から作ってああしてこうしてというのは好きです。そこに苦は感じないですね」と頼もしい。自ら主体的に動くことができるのは、これまでにも行動力として表れている部分。ESI SQUAD加入に至るまで、小林は常に自身の手でチャンスをつかんできた。
「大阪出身で今こうやって埼玉のチームにいるのもすごい縁だと思います。アメリカやフィリピンにも行きましたし、この間は5人制だったんですけどマレーシアにも行きました。海外経験もどんどん積んで、できる経験は全部していきたいと思ってます。バスケができなかった時期があるからこそ、もっとやりたい、もっといろんな経験をしたいというのはありますね」
その行動力の賜物か、小林は良い出会いにも恵まれている。この夏は3×3日本代表に選ばれ、ワールドカップに出場したほか、Women’s Series Jakarta STOPで見事に優勝を成し遂げてみせた桂葵はその1人。「一瞬仕事をお手伝いさせてもらったことがあるので、たまに連絡を取ってるんです」という小林は、当然のようにそれらの試合もしっかりチェックしたという。
「身近な人がゼロから現役復帰して今3×3を引っ張ってるところを見てると、やっぱり夢があるなって思いますね。先輩たちがそうやって頑張ってるから、私も簡単には辞められないなって」
キャプテンという立場上、どうしてもチームのことを最優先に考えてしまうが、小林は「“あのチームにあの選手がいる” って思われるのも大事かなと思うので、“3×3の小林”って名前が出てくるように、個人スキルもしっかり練習していきたい」と、プロ選手としての価値を追求しようとしている。スタートラインに立つのは少し遅かったかもしれないが、バスケットと向き合える今の充実感を原動力に、台頭する姿を期待したいところだ。
文・写真 吉川哲彦