若手主体のメンバー構成とあっては、最初から全てが上手くいくわけではない。今年度のTOKYO BBは3×3.EXE PREMIERに参戦せず、年間の試合数は減ってしまった。チームの事情や方針がある以上、これは仕方のないことだが、「若手にとっては試合の経験がすごく大事だし、チームとしても試合をたくさんやって経験を積みたいので、寂しいというのはあります」と山澤も本音を漏らす。
しかし、その分「出られる大会にしっかりフォーカスするだけ」と前向きに考える山澤は、徐々に良い手応えも感じ始めているところだ。10月13日、東京・有明に開業したばかりのlivedoor URBAN SPORTS PARKで開催されたJBA 3×3 JAPAN TOUR EXTREMEでは、第1試合のTOKYO VERDYに17-21、第2試合のTOKYO DIMEに14-17で敗れてグループラウンド敗退となったが、いずれも終盤まで競った展開に持ち込むことはできた。着実な積み重ねで、成長は実感できている。
「チームの形にこだわりすぎてプレッシャーを感じたり、TOKYO BBという名前で試合に出ると『勝たなきゃいけない』と思って緊張したり、最初は上手くいかないことが多かったですけど、だんだん自分たちのプレーは確立してきたと思います。今日も2つ負けちゃいましたけど、良いプレーはたくさん出たし、みんなで話し合ったプレーがやっと表現できるようになってきたなと感じるので、まだまだこれからのチームだと思うんですけど楽しみです。以前はやりたいことがそれぞれ違ったり、かみ合わなかったりで毎回反省ばかりだったのが、今はこのプレーが良かったから継続していこうという話が出ることが増えました。良いメンバーが集まってると思うし、中と外のバランスも良い。何年もメンバー固定でやってきた他のチームに対して戦えるようになってきたので、これからは良いチームで終わらず、勝てるチームになっていきたいと思って頑張ってます。自分たちの色を出せるように、もっと練習していきたいです」
山澤は3×3で現役復帰するにあたり、株式会社ERUTLUCを退職している。子どもたちを指導するスクールの時間は、必然的に夕方以降の時間帯になる。そして、現状では学業や仕事との両立を求められる3×3も、練習はやはり夕方以降に限られる。その二者択一で、山澤は自身の選手としてのキャリアを優先したわけだ。指導者として過ごした2年間もプレーに対する情熱をたぎらせていた結果なのだろうと思いきや、意外にも「熱は1回冷めましたね、ちゃんと(笑)」と山澤は言う。そして、熱が1回冷めたことでかえって、今こうして真摯にバスケットと向き合える喜びを強く感じているようだ。再び燃え上がってきたその熱は、どうやらしばらく冷めそうにない。
「離れたからこそまた熱が出てきたと思うんです。ずっとプレーしてたら、年齢とともに熱もなくなっていくだけだったんじゃないかなと思います。1回辞めたからこそ、楽しさがまた出てきたなって思います。この年齢になっても悔しいとか嬉しいとか、『チーム一丸となって』という気持ちを持てるのって貴重だなと思うので、今めちゃくちゃ充実してます」
文・写真 吉川哲彦