セミファイナルは、他のチームであれば完全アウェー状態だっただろうが、オレンジ色に染まった一角は力強くチームを後押しした。もちろんその声は選手たちにも届いている。
「やっぱり嬉しいですね。全国どこでも応援に駆けつけてくださるのは励みになります。今日もBREXファンばかりの中でも声が出てましたし、応援合戦みたいになってましたが、あれを聞いたら負けられないなという気持ちがすごく出てくるので、次のラウンドは優勝を狙って、それに応えたいですね」
長谷川は、チームでは強化本部長の役割も受け持っている。そこに至る経緯は、チームの発起人でもある立川光昭会長との出会いから始まったものだった。
「会長から全然違う仕事の依頼があって、その話をしてる中で、会長が地元の上野原でチームを作るということになって、僕としては最初は『そうなんですね』くらいだったんですよ。3×3に関わったことのある人が誰もいない感じだったので、ちょくちょくアドバイスはさせていただいてたんですが、3回目くらいにお会いしたときに『正式にオファーさせていただいてもいいですか』と言っていただいて、それで最初はマネージメントのほうをやったんです。でも、選手を集めていく中で『自分がやったほうがいいんじゃないか』となったのが、この始まりですね。人に任せて勝敗を云々するのは、自分にはまだ早いなと思いましたし、自分が命かけてやったほうがいいんじゃないかというのがあったので、2年ブランクはあったんですが『やったろう』と。練習はキツいですけどね(笑)」
チームの要職を担い、自身もプレーすることを選択したことで、今はモチベーションも非常に高い状態だという。本業との兼ね合いや体力面の危惧もある中、バスケットと真摯に向き合うことに充実感も得られる日々だ。
「以前は、やらされてるというとおかしいですが、今とはちょっと違うメンタルでした。そのときと比べると、こうやってチーム作りから携わったからこそというのもあって、熱量は全然違います。39歳で、正直毎日練習も行きたくないですし(笑)、仕事が終わってからの練習はキツい。自分に対して『頑張ってるな』っていつも思ってます(笑)」
長谷川はトレーナーやジム経営者の顔も持ち、いわゆる恋愛リアリティーと呼ばれる番組に出演したことでも話題になった。ただ、バラエティーに富んだその人生を「面白い」と語る長谷川も、今は自身の経験をバスケットへの熱に変えることを意識する。
「番組に出てからやっぱりいろいろ変わりましたし、だからこそ自分がこの競技を盛り上げる役目なんだろうなというのもすごく感じてます。まだまだ盛り上がる余地のある競技なので、自分が先陣を切って、プレーも含めていろんな面で引っ張っていけたらと思います」
もう一つ、長谷川といえば弟・智也が越谷アルファーズのキャプテンとしてB1昇格に貢献した。弟の存在もモチベーションに、長谷川はまだ第一線で体を張る。
「彼はそのためにアルファーズに呼ばれて、4年でようやく上げることができた。昇格を決めた試合の相手に移籍するというのは何を考えてるのかわからないですが(笑)、彼の生き様は自分にも刺激になるので、見てて楽しいですね。僕もまだまだ、やれるだけやります」
文・写真 吉川哲彦