今年の3×3.EXE PREMIER男子カテゴリーは、日本国内だけで36チームが参戦。昨年より6チーム少ないとはいえ、それでも新規参入チームは5チームを数える。岐阜県不破郡垂井町を拠点として誕生したTARUI RAZORBACKS.EXEはその1つだ。
チームのオーナーは、タレントやアスリートのマネージメント、イベント運営などを主な事業とする株式会社Gifut。代表・南隼人はスポーツアナウンサーであり、2023-24シーズンまで8年にわたってBリーグ・アルバルク東京のアリーナMCを務めるなど、バスケット界でも一定の知名度を誇る人物だ。
チームは今、産みの苦しみを味わっている。7月20日に千葉県柏市で開催されたJAPAN XEBIO Conferenceラウンド5も、1試合目は開始3分で0-6と立ち上がりにつまずき、その後追い上げたものの結果は15-21。2試合目は終始相手ペースで進み、7-21。ここまでまだ1つも白星を挙げることができず、10連敗中。それも、全てKO負けである。この日の2試合を終えたあと、南はこのように語っている。
「僕たちは『TARUI VIBES』というスローガンを掲げてるんです。僕はよくアンダードッグという言葉を使うんですが、垂井なんて誰も知らないし、レイザーバックスも誰も知らないので、かみついていくしかないんですよね。その熱量、気持ちの部分で、特に第1ゲームは受けに回ってたなと思います。エナジーが出てなかったです」
所属選手の大半が、リーグが定めるU24特別選手枠の対象で、キャリアが浅い。この日の対戦相手であるZETHREE ISHIKAWA.EXEやMINAKAMI TOWN.EXEは、リーグ草創期から活動するチームであり、百戦錬磨の選手を抱える。強い気持ちで立ち向かわなければならない相手に、それができなかったことを悔しがる。
「そもそも経験値が足りないことも、バスケットボールの技術が足りないこともわかってるし、185センチ以上もいない。それはシーズン前からわかってることなので、どこまで熱量を出せるかということと、あとはお客さんの力を借りるしかない。だから毎試合、選手たちはお客さんに向けて『応援してください』って挨拶してるんです。
相手に勝てるのはエナジーしかないのに、そこで負けてたら勝てるわけがないんです。ブレイキングダウンなんて、どう見ても格闘技をやったことのないような人が強い相手にかみついて勝つんですよ。残り2分で13-15とか、15-17で負けてる段階からが、僕らが本当に気持ちを出して勝負するところ。最後の2分で『さあここからだ』という、そこまでのコントロールがラウンド4ではできた。1回できたということは、次もできるはずなんです」
昨シーズン、A東京でクラブ主管試合の最多観客動員記録更新を目の当たりにしても、競技の認知度にはまだ向上の余地があると南は考えている。実績のない選手が集まったチームとして、ひたむきに努力すること、這いつくばってでも勝利を目指すことを重視する南は、そんな泥臭い姿を見せることが誰かの活力になるということ、地域の活性化など様々な面に影響を及ぼすということを、このチームで体現しようとしている。