10周年の3×3.EXE PREMIERは、一足先に開幕していた男子カテゴリーに続き、女子カテゴリーも6月15日に戦いの火ぶたが切って落とされた。開幕戦の会場は昨年と同じく千葉・船橋市のららぽーとTOKYO BAYだが、6チームのうち3チームが新規参入と顔ぶれは少々変わっている。その中で、TOKYO VERDY.EXEは一昨年、昨年と連覇を果たしたYOKOHAMA G FLOW.EXEをほぼそのまま引き継ぐような形となり、おそらく優勝候補に名乗りを上げてくるだろう。
しかし、順当に決勝まで勝ち上がったそのTOKYO VERDYを残り11秒の決勝点で破り、開幕ラウンドを制したのは継続参戦チームの1つ、FLOWLISH GUNMA.EXEだった。決勝点を挙げたのは髙橋芙由子。予選グループから持ち前の得点力でチームを引っ張り、MVPを受賞するとともに、新設されたスーパーショット賞にも選ばれているが、本人は「予選もシュートが入らない時間帯が長くて結構苦しかったんですけど、仲間たちがつないでくれて、結果的に勝ったので今回は良しとします(笑)」と、自身の出来にはあまり満足していない。
髙橋が本格的に3×3.EXE PREMIERに参戦したのは昨年からだ。大学卒業後、秋田銀行で4年プレーし、この日の決勝で戦った矢上若菜とはチームメートだったが、その矢上が秋田銀行を去り、3×3に転向。1年後、「矢上さんともう1回一緒にやりたい」とBEEFMAN.EXEにジョインしたものの、上京して転職した会社の仕事に追われ、「練習にも行けず、モチベーションを自分で上げることもできなくて迷惑かけちゃって、結局JAPAN TOURに2回出ただけで終わっちゃった」とのこと。その後の2年間の空白期間は「めちゃ太ったし、コンディションは最悪でした(笑)」ということだが、昨年競技に復帰した際にFLOWLISH GUNMAに誘ってきた李人竹が当時在籍していたミツウロコの練習に参加し、そのミツウロコでも1年だけプレーした。そして、今年は群馬に移住して再び3×3に専念している。
人前でプレーする環境にいることを「応援してもらえるのは力になりますし、もちろんシュートとかすごいプレーで沸かせるというのもそうなんですけど、チームとして泥臭くプレーして熱い雰囲気を私たちが作って、会場の人たちがついてきてくれる」と楽しむことができていると同時に、それを良いモチベーションにもしている。桜花学園高から白鷗大と、いわゆるエリート街道を歩んできた一方で、必ずしもエース格の選手ではなかった立ち位置からステップアップできているという実感も持っているところだ。
「自分でもありがたいなと思うような経歴なんですけど、メインの選手というよりはポイントで出る選手だったので、個人としては5人制でそこまで大きな結果を出してきたわけではないんですよね。その中で、3人制では第一線でプレーできてるし、JAPAN TOURになるとWリーグの選手たちも入ってきて、そこで対等にやれてるという感覚もあるので、やりがいはすごく感じます」
何より、FLOWLISH GUNMAで正面からバスケットと向き合うことができている今の状況から、髙橋は充実感を得ている。ステップアップできているのも、今置かれた環境によるところが大きいようだ。
「今までで一番楽しくバスケットをやれてるなって思います。悔しいことも嬉しいことも含めて、のめり込めてるなって感覚があって。花野(文昭コーチ)も毎日仕事の合間を見つけて練習してくれますし、オーナーの志村(潤)さんもすごく力になってくれてます。群馬に移住して、地域の皆さんもいろんな人が支えてくれるので、それが責任とやりがいにつながってるかなと思います。去年誘ってくれた人竹にはすごく感謝してます」