神奈川大学で培った雑草魂
「週5は練習できています」という阿達は、学生時代から変わらぬルーティンを続けている。神奈川大学を長年に渡って指揮を執る幸嶋謙二監督は、勝たせる手腕以上に基礎を叩き込む育成に長けている。そのベースがあるからこそ、卒業した今なお活躍できていることを阿達も実感していた。
「幸嶋さんの教えである泥臭くあきらめずにプレーすることを、大学では教えられました。それはバスケだけではなく、社会人にとってもすごく必要なことです。大学時代の教えは仕事でも活かされているので、幸嶋さんには感謝しています」
阿達が4年生のときに1部昇格を決めて以降、神奈川大学は7年間変わらぬ舞台で戦い続いている。「今年入ったはじめての特待生は横浜清風高校の後輩なので、CS PARKで見ていました。神大はこれまで特待制度がなく、全額免除なんてなかったので環境が変わりましたよね。僕らは雑草魂でがんばっていましたが、その伝統は今も変わっていないと思います」と先日終わったばかりの関東大学スプリングトーナメントの結果もしっかりと追っていた。
初の特待生として迎えた長谷川比源は平均14点、8.8本でリバウンド王に輝き、華々しいデビューを飾った。登録は199cmだが、スタッフ曰く202cmと大台に乗っているそうだ。母校の横浜清風高校には、少なくとも年に1度は高校の練習へ参加し、長谷川の成長にも一役買ってきた。変わりゆく神奈川大学の今後に期待しかない。
「僕らの代までは190cmの選手が一人もいなかった中で、本当によく戦っていたと思います。今は大きな選手が揃ってきましたし、特待生も入ってこれからさらに期待していますし、おもしろいです。現代バスケは大きくて動ける選手が重宝されます。だからこそ、神大のがんばりどきでもあると思うので、今後も影ながら応援しています」
バスケの楽しさや奥深さを、横浜清風高校や神奈川大学で刷り込まれてきた。阿達にとってはもう生活の一部となっており、3×3だけではなく5人制は三重県へ行ってプレーし続けている。開幕戦は2連敗に終わり、いそいそと帰路に着く前に少し足を止めてもらった。このインタビューを終えると「これから名古屋に帰って、明日もバスケです」と5人制も3×3も関係なく、隙間時間をバスケで埋める充実な日々を送っている。
文・写真 泉誠一