「え!三上なんでいるの!?」レバンガ北海道のホームで仲間たちを驚かせる現在の姿
パリオリンピック出場を懸けて最終予選が行われた週末、国内では3×3.EXE PREMIERが新シーズンを迎えた。開幕へ向け、参戦チームのロスターを確認していたとき、ひとりの選手に目が止まる。2013年からウインターカップ3連覇した明成高校の一時代を築いた三上侑希が、FUZ HOKKAIDO.EXEの一員として表舞台に戻って来た。
中央大学では「ケガが続き、メンタル的な不調もあり、なかなか4年次はプレー自体ができていませんでした」という三上は自分の実力に限界を感じ、少しずつバスケが嫌になっていった。2019年当時、Bリーグは隆盛しはじめ、同世代の選手たちがこぞってプロを目指し、特別指定として早くも爪痕を残しはじめてもいた。
「自分のレベルではトップでプレーできるような確約がなく、それに加えてケガをしたことでいろんなストッパーがかかってしまいました。そこで絶望感が出てしまい、拭いきれないまま抱え込み、プロで活躍するまわりの姿を見て、もう無理だなと投げ出してしまった時期がありました。そこは中大にも、チームメイトにも申し訳なかったと思っています」
苦い記憶を辿る三上は、夢をあきらめた。その後は地元北海道へ戻り、就職浪人の末にテレビ局UHBに就職し、現在に至る。「最初の1年半は報道で記者をしていました。事件事故現場に駆け付けてリポートして、みたいな。ネットニュースにも出ていました」というから、見かけて驚いた方もいるかもしれない。「バスケのバの字も一切考えられなかった」新しい人生に没頭する日々。その後、営業へ異動するとレバンガ北海道の番組担当として、今シーズンも北海きたえーるに足しげく通った。アウェーでやって来るチームには、かつての仲間も少なくない。「え!三上なんでいるの!?」というくだりは、頻繁に繰り返されたそうだ。
「同期の牧(隼利/琉球ゴールデンキングス)や寺嶋(良/広島ドラゴンフライズ)、中央大の先輩の久岡幸太郎さん(茨城ロボッツ)、宮城出身の荒谷(裕秀/長崎ヴェルカ)など、バックステージでみんなを驚かせています。懐かしい顔ぶれに会うことができるのが楽しいですね。納見(悠仁)はオフになると必ず北海道へ遊びに来るので、ウチの家族とともに今も仲良くしています」
いつ出動がかかるか分からず時間も読めなかった報道から異動したことで、自分の時間にゆとりができた。レバンガ北海道で活躍した牧全さんがクラブチーム『ILL』を発足し、学生時代のスターに触手を伸ばす。「仕事にも慣れたこともあり、昨年7月頃からまたバスケしはじめました」と三上はコートに戻っていた。ILLはクラブチームの大会で北海道予選を突破し、全日本社会人バスケットボール選手権大会へ出場。いきなり全国の舞台へ返り咲き、「2回戦負けでしたがバスケ熱が再燃し、やるならばちゃんとやりたい」と本腰を入れる。5人制だけに留まらず、ILLのチームメイトでもある田尻洋輔が3×3でもプレーしていたことを知り、「やりたいです」と飲み会で直談判。すぐさま迎え入れられたのがFUz HOKKAIDO.EXEであり、5月18日の3×3.EXE PREMIREでデビューを飾った。