その後もいくつかのチームを渡り歩き、アースフレンズ東京Zでプレーした2018-19シーズンを最後に、5人制のプロキャリアにピリオドを打つことになる。河相は37歳になっていたが、バスケットボール選手としてのキャリアにはまだ続きがあった。年々競技人口が増えてきていた3×3への挑戦である。しかも、3STORM HIROSHIMA.EXEで1シーズンプレーした後、FUKUYAMA BATS.EXEというチームを自ら立ち上げた。これは何も自分のためだけではない。
「僕の地元で、5人制のプロで複数年プレーしたのは僕しかいないんですよ。誰も経験していないことを経験させてあげられるんじゃないかというのもあって、思いきって3人制のチームを作ったんです。本来であれば上手い子がどんどん出てきて、僕はところてん方式で押し出されたいんですが(笑)、育成は時間がかかるな、なかなか結果は出ないなと思ってるところです。でも、5人制を諦めて3人制に来る選手もいますし、5人制のオファーを貰えなくて3人制で活躍して5人制に戻る選手もいる。今僕と一緒にプレーしてる中にも5人制のプロを目指してる子がいるし、そういう選手にとってチャンスの場が広がるというところにチームの存在意義も一つあると思ってます」
創設4シーズン目はチームにとって苦しいシーズンになった。西日本のチームで構成される3×3 UNITEDにも参戦する一方、チーム創設時から戦っている3×3.EXE PREMIERは8つのラウンドで2勝14敗。グループラウンドを突破することは一度もなく、21チームがひしめく西地区で最下位という結果に終わった。だが、河相個人のパフォーマンスは良く、8月26日に行われた最終ラウンドでは、後のプレーオフでベスト8まで勝ち上がるZETHREE ISHIKAWA.EXEを河相の2ポイントラッシュでKOし、シーズン2勝目を挙げた。この日のプレーには本人も「シュート入ってましたねえ。まだいけるのかな(笑)」と満足げだった。
「今シーズンが始まるまでは、プレーはこれでやめようかなと思ってました。でも、チームが勝てない状態でなんとかしないといけないし、ちょっと我を出すというか、もっと積極的にやってみようと思ってチャレンジしたらシーズン後半は案外活躍できて、『あれ? まだできるんじゃない?』って(笑)。プレミアでは全然勝てなかったんですが、僕の自信にはなりました。子どもたちや次に出てくる選手に自分の背中を見せるというのは一番わかりやすいところでもあるので、今はもう1年体に鞭打って頑張ろうと思ってます。『もう41歳のベテランに活躍されて悔しくないの?』という話はよくしてるんですよ。彼らのモチベーションとかハングリー精神をかき立てられるんだったら、この歳でもみんなの邪魔になるくらいやってやろうと思いますね。自分はもう限界、次の世代に任せてもいいってなればベスト。それに気づかせてくれる選手に出てきてほしいです」
「自分の背中を見せる」というのは、何もプレーの面に限った話ではない。紆余曲折を経てプロの世界に到達したという河相のキャリアからも、吸収できることは多い。どんなバックグラウンドであろうと道はある、その道を歩めるかどうかは自分次第だということを、河相は示していこうとしているのだ。