「会社を作ったのも、YouTubeをやってるのも、バスケを通じた社会貢献、子どもたちの未来に貢献したいというのが一番。それが私の生きてる理由というか、生き甲斐みたいなもので、そのためにいろんなことをやってるつもりなんです。5人制で現役でやってたときはお客さんもそんなにいなくて、『この状況をどうしたらいいんだろう』っていうところから始まってるんですけど、特に女子バスケを盛り上げたいといっても、それを受け取る側からしたら興味ないものは興味ないと思うんですよ。面白いとか、自分のためになると思ってもらって、自然と見たくなるようにならないといけない。最近話題のLGBTQ(性的マイノリティ)とか多様性みたいな問題もバスケの世界だったらみんなが認め合う、バスケが好きならどんな人でも仲間になれる、そういう世界を作りたいんです。
バスケは運動神経が発達するスポーツだし、頭も使うし、誰もが人間的に育つ競技。そこに多様性も当たり前にある世界になれば、みんなやりたいと思ってくれると思うんですよね。バスケをやってる子はみんな良い子だなとか、なんでああいう考え方ができるのかっていうふうに見てもらえるようになったらバスケは盛り上がっていくし、自然とトップリーグも盛り上がって、そのトップリーグの選手の発信したことが子どもたちの憧れになって、っていう良い循環が生まれる。そういうことはリーグもチームもそれぞれの立場でやっていくと思うんですけど、私は私でいろんな立場からアプローチしていきたいです。私、孤児院にも行きたいと思ってるんですよ。そこにいる子たちも自分のいろんな可能性を信じてほしいし、バスケを通じていろんな世界を知ってほしいんです」
こうした考えに至ったのも、岡田自身がこれまでバスケットに携わり、打ち込んできた結果だ。バスケットを通じて様々なことを経験し、想いを巡らせてきたことが全て、今の岡田を形成している。誰よりもまず岡田こそが、バスケットを媒介として世界を広げてきたというわけだ。
「本当にそうです。最初からそういうことを考えてきたわけではなくて、バスケが好きでいろいろやっていく中で、こういうことが必要なんだなってわかってきたし、今いる立場にもつながってるというか、今までやってきたことが全部つながってこういうことができるんだなって思います。そういう仲間を増やしていきたいです。(有明)葵衣さんもそうだし、桂葵(ZOOS代表兼選手)もそうだし、Wリーグとかもそう。いろんな立場の人がいるじゃないですか。そういう人たちと連携してやっていけたらいいなって思ってます」
社会全体におけるバスケットのステータスを引き上げる、その壮大な目標を果たすため、岡田は現役選手という立場から軸足を移す。心おきなく歩みを進めるためにも、今は選手としてできることを最大限にやり尽くそうとしている。
「悔いがないように、まず日本一を獲りたいというのが今の一番の目標ですけど、結果がどうあれ、信頼して、楽しんで、チーム力を出しきってシーズンを終わりたいですね。もっとああいうことをしたかったなというのがチームとしても個人としてもないように、『やりきった!』って言いたいです」
いつか我々がそのプレーをまた見る機会がゼロではないとしても、未来への想いを秘めながら全力でプレーする岡田の姿は、今このときも見逃してはならないのではないか。その姿から何かを感じ取れるようなプレーを、きっと見せてくれるからだ。
文・写真 吉川哲彦