TOKYO DIME女子といえば、かつては森本由樹や瀨﨑理奈といったWリーグ経験者が名を連ね、3×3.EXE PREMIERの女子カテゴリー創設と同時に参戦。現在は同リーグへの参戦を見送っているものの、JBA主催の大会等には出場しており、やはりWリーグ経験者である小池真理子は引退してしまったが、昨年は元トヨタ紡織の加藤臨、そして今年は現役Wリーガーの渡部友里奈(デンソー)を迎え入れた。3×3界のリーディングチームとして、その活動は依然活発だ。
そのTOKYO DIMEが6月20日に、都内でファンクラブ会員向けの公開練習を実施した。Wリーグ・トヨタ自動車をゲストチームに迎えたミニゲーム形式の練習は約1時間半。トヨタ自動車はその週末に韓国で開催される「2023 SHINHAN BANK WKBL 3×3 TRIPLE JAM」への参戦を控え、大神雄子ヘッドコーチやメディカルスタッフだけでなく、Wリーグ専務理事の任期を終えてチームに復帰したばかりの清野英二氏も帯同する熱の入れようで、練習でありながらも熱のこもった勝負が繰り広げられた。
終了まで30分を切った頃に、1人の選手が遅れて姿を現した。母校・千葉英和高のHCとなった藤岡麻菜美は、その指導の後に渋滞に巻き込まれながらも公開練習の会場に駆けつけ、最後の約10分間だけプレーを披露。訪れたファンにとっては貴重な時間となった。
Wリーグファンはご存じかと思うが、藤岡は昨シーズン途中にシャンソン化粧品を退団。その時点では選手としての活動に一区切りをつけるつもりでいたが、現役を退いた後も組織に残ってスクールコーチなどを務めている森本から練習参加の誘いを受けたのをきっかけに、TOKYO DIMEの一員となった。
「森本さんから『体を動かしたかったら来てみない?』くらいの感じで声をかけていただいて、まぁやることもないし(笑)、ちょっと行かせてもらおうかなと思って。プレーヤーとしては全くやる気はなかったんですけど、『向いてると思うからどう?』『えっ、自分ですか?』っていうところから始まって、すぐに岡田(優介オーナー)さんからも連絡がきて『ファンの人たちも心残りだと思うし、プレーを見せる機会を作れるから』と言っていただいたんです。まだ体は動くから、自分も全く心残りがないと言ったら嘘だったし、ちょっとやってみてもいいのかなと思って決めました」
藤岡はJX-ENEOS(現ENEOS)で一度引退し、シャンソン入団の前に1年のブランクがあった。意を決してWリーグに復帰した経緯があっただけに、志半ばでフェードアウトしてしまうことにはやはり思うところがあったらしく、この日の公開練習では「正味10分くらいしかコートにはいなかったんですけど、ファンの皆さんに自分のプレーをお見せできるのは本当に気持ちいいなと思いました」と喜びを感じていたようだ。
「1回引退して戻ってきた身で、調子もどんどん上がってきてたし、Wリーグでファンの皆さんにもっと見てもらいたかったという想いはありました。『これで辞めちゃうのかな』という声も耳に入ってきてたので、DIMEに入るのをSNSで発表したときに喜んでくれた方が多かったのは素直に嬉しかったです」