泰から見た今の環境は、「若い選手は淡々とプレーしてしまう。ノーマークだからとりあえず打つ、とか。そうではなく、その1プレー1プレーに自分が何者なのか、自分が何をやりてぇーのかを出さないとパスも回って来ない。強度の高いディフェンスに対して、そのときに自分の武器が何なのかを分かっていないといけない」と言い、ストリートボール特有のマインドセットを求めている。
「バスケはパズルのようであり、シューターが当たっていればそこにボールを集める。そのために自分は死ぬ気でリバウンドを取りに行く。そういう一つひとつを丁寧に積み上げていかなければいけないし、これだけ多くのチーム数がある中で似たようなバスケをしていてもおもしろくない。PROCESS.EXEは選手のポテンシャルを出し切って、ハードワークするヤツ、2ポイントシュートを決めるヤツ、1on1が大好きなヤツ、ダンクするヤツ、それぞれの良さがバチッと合わさったときに、見ていておもしろいバスケになると思って、いつもプレーしています」
いろんなことを犠牲にしながら、ストリートボーラーとして生きる秦は、「ただただ負けず嫌いなだけ。でも、負けるし、ちょっと上手くなったり勝ち上がったりしても、次から次へと上手いヤツらがどんどん出て来る。でも、その中でふと振り返ると、自分はすごく成長していると感じます。必死のときは思えないけど、そういう挑戦が好き」。生き残るためには、あきらめることなく戦い続けなければならない。年齢差に比例して実力差が埋まらない現状にもがきながら、「それでもコツコツずーっと続け、時間が空けば公園に行く。負けたらすぐにワークアウトに行く。それができるのが、ストリートの良いところ。言い訳せずにコツコツと続けていれば、きっとチャンスが来ますよね」というのが、秦の才能である。
「才能? いやいや地獄ですよ。ずっと地獄から這い上がれない感じ。でも、そこも楽しんでる。下界が楽しいんですよ(笑)。目標はSOMECITY本戦に出る! ALLDAYで優勝する!」
ALLDAYが6月3日・4日に代々木公園バスケコートで開催される。同じ日、ららぽーと甲子園で3×3.EXE PREMIERもある。どちらに出場したら良いか頭を悩ましていたが、プレーグラウンドを欲張れるのもストリートボーラーの特権である。
文・写真 泉誠一