「押し合いへし合いも当たり前」な環境で育った生粋のストリートボーラー
昨年末のトライアウトを経て、PROCESS.EXEに加入した秦啓大。迎えた3×3.EXE PREMIER JAPAN 2023開幕戦は、1勝1敗で予選敗退。長いミーティングを終え、姿を現した秦は反省点を並べ、そして優勝チームとの差を痛感する。
「やっぱり3×3は想定外のことが起こる。ゲームもそうですし、チームビルディングもそう。2人の外国籍選手がロスターから外れ、日本人だけで出場することも直前に決まりました。僕は34歳のベテランですが、チームメイトは24〜5歳の若手であり、そのうち2人が3×3.EXE PREMIERのデビュー戦。屋外で試合するのに慣れていなかったり、普段ならば打てるシュートも打てていなかったりしていました。初戦のTRYHOOP OKAYAMA.EXEは強豪チームであり、やっぱり上手かったです。序盤は競ることもできていましたが、イージーな1点をしっかり取ってくる。それぞれが自分の仕事をしていました。昨日のALPHAS.EXEを見ても別格であり、ちょっとレベルの差を感じましたね」
PROCESS.EXEのチームメイトに対し、「全員ポテンシャルがすごく高く、日本人選手だけでもメチャクチャ強い。それぞれが何かしらの武器を持っているので一緒にプレーしていてもおもしろいです」と可能性を感じている。秦自身のプレースタイルは「ハードワーク。エナジーを出して、リバウンドやディフェンス、ルーズボールはもちろん。1on1が得意な方ではないので、味方を活かしながら自分も活かす。ノーマークになる動きをしていくのが得意です」とチームのつなぎ役を担う。この日も、何度も客席へ突っ込みながらボールを追いかけ、ハッスルしていた。
選手それぞれの特徴を出すことに専念した開幕戦。TRYHOOP OKAYAMA.EXEには12-16で惜しくも敗れたが、続くTOKYO VERDY.EXEには15-14で競り勝った。「Bリーガーや外国籍選手、今日で言えばTRYHOOP OKAYAMA.EXEのショウさん(長谷川聖)やアンドレ(アンドリュー・ロビンソン)、TOKYO VERDY.EXEの浅野(崇史)さんとマッチアップしましたが、メチャクチャすごい選手たちです。現時点で力の差はありますけど、でも負けるとも思わない。良いところを出し合えれば、勝負できるとは思っています」という秦の経歴がおもしろい。
FIBAが国際的にルールを整備し、オリンピック種目となった3×3。3×3.EXE PREMIERにはBリーガーをはじめ、学生時代に日本一を目指してきた選手が多い。だが、秦の場合は中学生の頃からFAR EAST BALLERSを追いかけ、LEGEND(※2000年代に隆盛したプロストリートボールリーグ)やALLDAY(※代々木公園バスケコートで繰り広げられるトーナメント)などストリートボールの現場をチョロチョロしていた。音楽が途切れなくガンガン流れる屋外コートが、学生時代に憧れてきたプレーグラウンドである。同時期に代々木公園にバスケコートが設置され、大人たちを相手に真っ暗になり、ボールが見えなくなっても挑み続けてきた。