終わってみれば、その強さが証明されたプレーオフだった。第1ラウンドの決勝でTOKYO BB.EXEに敗れた以外は全ての試合に勝利し、15勝1敗という堂々たる成績で3×3.EXE PREMIERプレーオフに駒を進めたG FLOW.EXE。9月18日のクォーターファイナルとセミファイナルもともに海外勢を相手にKO勝利、それも10点以上の差をつける会心の勝利だった。
ただ、NEW TAIPEI CHUNGHWA TELECOM.EXEもクォーターファイナルは19-4と圧勝し、セミファイナルではTOKYO BB.EXEを21-15のKO勝利で退けた。迎えた翌19日のファイナル、両者の激突は期待に違わぬ一進一退の展開となった。
ファイナルに相応しい熱戦にケリをつけたのは、矢上若菜だった。残り1分44秒に許した2ポイントでこの試合最大の3点差をつけられたが、8秒後に2ポイントをお返し。同点に追いついて迎えた残り26秒からの相手オフェンスをしのぐと、ボールを持った矢上は冷静に李人竹とのピック&ロールを利用して自身がオープンになる状況を作り、残り12秒で2ポイント。ボールがリングを射抜いた瞬間、矢上は小さく、しかし力強く拳を握りしめた。その2点を守りきったG FLOW.EXEが、今シーズンの3×3.EXE PREMIER女子カテゴリーの頂点に立った。
海外勢の強さを把握しきれない部分もあったとはいえ、国内で4ラウンドのうち3つまでを制し、残る1回も決勝進出という圧倒的な成績を残してきたことを考えると、肝心のプレーオフで負けるわけにはいかないというプレッシャーがあったとしてもおかしくない。そんな中で優勝をつかんだことに「ホッとして風邪引きそう(笑)」と冗談半分に語った矢上だが、その実、危機感を常に感じながらプレーしていたそうだ。
「プレッシャーは毎ラウンドありました。『負けたらどうしよう』というのはいつもあったんですけど、勝つ度に成長を感じられたし、日本で3回ラウンド優勝して、今回こうして3カ国が日本に来て戦った中でも接戦をものにして優勝できたことはすごく自信になりました」
端から見る限り、矢上をはじめG FLOW.EXEの選手たちはそんなプレッシャーなど微塵も感じさせず、堂々とプレーしているように見えた。勝負を決めた最後の2ポイントも、落ち着いてプレーをセットしたように見受けられたが、あまりにもきれいに完全ノーマークになるとかえってシュートを打つのを迷ってしまうもの。自身のマークマンが李に引きつけられて前が空いたとき、「手が震えましたもん」と矢上の体にも緊張が走ったというが、「でも、打ちきるって決めたんで」と自信を持って2ポイントを放った。
「たぶん誰もが人竹にパスすると思ったと思うんですけど、『最後は自分が決める』という強い気持ちがありました。たとえこれが外れたとしても悔いはない、そういう気持ちの込もったシュートでした」