まだまだ先が続くことで、「あぁ、4連覇かぁ……あんまり実感ないですけど」というのは齊藤洋介だ。昨シーズン同様、3×3日本選手権を含めた全タイトル制覇、そして世界で勝つことが目標となる。3×3の特徴として、「なかなか勝率が安定しない競技」という持論を持つ齊藤。40分間で競い合う5人制でも起伏の波があるが、ふたたび流れを引き寄せるだけの時間がある。しかし10分間、または先に21点を獲ればKO勝利でゲームが終わる短時間決戦の3×3だからこそ、「どのチームを見ても優勝できなかったり、ポロッと負けてしまったり、僕らも今シーズンはポロッと負けてしまうことが多かったです」という特徴を常に感じながら戦っていた。その中において4連覇できたことに対し、あらためて齊藤はこの偉業を噛み締める。
「ただ、4連覇するほど勝率が安定しているというのは、我ながらなかなか良いチームなんじゃないかな。僕はシーズン最後のケガのせいで、このファイナルは全く貢献できず、試合にも全然出られませんでした。彼ら3人の強さを、仲間として誇りに思います」
会場にはまもなく開幕を迎えるBリーガーの姿も見られた。ニュージーランドのチームも出場していたこともありアイザック・フォトゥ、シーズン中には「荒谷(裕秀)君が宇都宮開催のときは応援に駆け付けてくれて、少なからず興味を持ってくれているブレックスの選手もいると感じています。オリンピックの正式種目にもなったので、今後もいろんな選手が参加してくれるようになれば良いですね」と齊藤が言うように、3×3を通じて世界へ向けたブレイクスルーも期待したい。
バスケが国技というほど日常に溢れているセルビアからやって来たサマルジッチが驚くほど、宇都宮は日本が誇るバスケタウンである。
「ブレックス・ネーションと呼ばれるように、Bリーグも3×3も含めて宇都宮は本当にバスケが盛り上がっている街です。ファンのみんなを失望させないように、今後もがんばっていきたいです」
ブレックスがBリーグを制したことで、モチベーション高くBREXの今シーズンが開幕した。4連覇を成し遂げた今度は、Bリーグ連覇に向けたブレックスの背中を押す。3×3とBリーグがお互いに刺激し合い、相乗効果でBREXもブレックスもチャンピオンを目指す原動力になれば良い。
文・写真 泉誠一