日本一のカギはディフェンス・ファースト
3×3.EXE PREMIER 2022 PLAYOFFSの優勝を争うラストゲームは、UTSUNOMIYA BREX.EXE(以下BREX)とTRYHOOP OKAYAMA.EXE(以下TRYHOOP)が駒を進めた。ドゥサン・サマルジッチが次々と得点を決めたBREXが先手を取る。しかし、熊本ヴォルターズなどで活躍し、今シーズンよりトライフープ岡山でもプレーするデボーン・ワシントンがインサイドを制すると、TRYHOOPが巻き返していく。19-19の同点で迎えた残り2分、飯島康夫そして最後はドゥサン・ポポヴィッチが真っ向勝負のドライブからゴールを決め、KO勝利で決着をつけた。BREXが見事に4連覇を達成し、3×3.EXE PREMIER 2022の幕が閉じた。
負けなかった ── という言葉がふさわしいと感じるほど、ディフェンスからガマンの戦いが続いたBREX。最後も逆転の2ポイントシュートを許さなかった。藤本光正社長をはじめ、ゴール下に陣取るスタッフやファンの声がけも「ナイディー、ナイディー(ナイス・ディフェンス)」が多い。MVPを受賞したドゥサン・サマルジッチも勝つためには「ディフェンスがカギ」と考える。昨シーズンのBリーグを制した宇都宮ブレックスもまた、ディフェンス・ファーストで日本一になった。
今シーズンよりチームに加わったサマルジッチは、2019年の3×3 U23ワールドカップでセルビア代表として出場し、銅メダルに輝いた経歴の持ち主。昨年の東京オリンピックでもセルビアは銅メダルを獲得しており、年齢制限なき代表争いは熾烈を極める。サマルジッチのランキングは9月20日現在、世界110位、セルビアの中では18番目。4人しか選出できない3×3において、「セルビアはレベルが高いので、今のままではそこのトップにはなれない」という現状を受け入れつつ、挑戦の場を日本に求めてやってきた。
Bリーグでのブレックスの戦いもよく見ており、「ファンも含めてチームのレベルが非常に高いです」という感想を持つとともに、「ブレックスも好きです」と刺激を受ける。ディフェンス・ファーストの系譜についても、「ブレックスも良いディフェンスをしているので、そこは同じように意識しています。良いディフェンスができれば良いオフェンスができ、良いサイクルができるので、そこはBREXの戦略のひとつです」と同じベースが日本一のカギである。ディフェンスで魅了されるファンが多いことも拍車をかけ、この日の会場を盛り上げ、そして選手たちの背中を押し続けていた。
サマルジッチも驚く「Bリーグも3×3も含めて宇都宮は本当にバスケが盛り上がっている街」
3×3.EXE PREMIERは終わったが、まだまだ3×3の戦いは続く。BREXは10月8日より台南(台湾)で開催されるFIBA 3×3 Challenger 2022 タイペイラウンドへ出場。3×3 JAPAN TOURは、11月19日から三井ショッピングパーク ららぽーと堺(大阪)で開催されるFINALへ向けたクライマックスを迎えている。そこでも連覇を目指すBREXが軸となり、今回苦汁を飲まされたチームにとってはリベンジするチャンスでもある。