強化の面に関しては、落合も「あくまで理想論だし、それが正解かどうかもわかりませんが」と前置きした上で「例えばトップ8というような、チーム数を絞った少数精鋭のリーグがあればレベルが上がり、そこに投資したい人が出てきてサラリーも生まれるかもしれない」と提唱するが、3×3.EXEも課題解決の答えになり得る取り組みを既に始めている。今年2月には3×3.EXE PREMIER JAPAN COMBINEという一般向けのトライアウトを実施。さらに、ワールドツアーのFIBA 3×3 Women’s Seriesがクラブチームにも門戸を広げたことに伴い、EXEWING(エグゼウィング)というチームを編成して派遣した。海老原氏は自身が代表候補に名を連ねた経験を生かし、リーグの一員となってすぐにこうした施策に動いた。
「僕が代表候補に入ったのと同じ導線、入口を作ることが大事だと思うんです。FIBA 3×3は今でもオープンで、試合に出てポイントを稼いだらちゃんとランカーとしてノミネートされる。そういう明朗会計というか(笑)、透明性のあるフラットなシステムが昔から変わっていなくて、ストリートと同じ開かれた仕組みが組み込まれていて、誰にでもチャンスがあるのが一番の魅力だと思います。EXEWINGの場合、経歴の無い選手でもコンバインで選ばれるとWNBAの選手と一緒に世界を転戦できる可能性があるんですよ。実現できるかどうかはわかりませんが、例えば3×3.EXEの女子カテゴリーにWNBAの選手が来たら一気にレベルが上がるし、普段一緒にできない選手とプレーできることはリーグとしての魅力にもつながります。実現できるように海外とのコネクションを築いていかないといけないですが、EXEWINGではForce 10というアメリカの選手と交流できたので、チャンスはあると思います」
日本女子の強さは、東京2020オリンピックの5人制銀メダルでも示された。落合も「Wリーグの選手が来てくれたらレベルの高さにお客さんも驚くと思うし、その選手を倒したいというアマチュア選手が出てくるのも面白い。それができるステージが3×3.EXEにはある」と期待し、海老原氏も「社会人になっても、お母さんになってもバスケットを続けるという文化が浸透していないだけで、実は女子のほうがポテンシャルはある。タレントがあるのに、発揮できる場所が少ないんですよ。3×3.EXEでプレーしたらもっと自分の好きな生き方ができるかもしれない、そういう選択肢を提供することもやっていきたい」と意気込む。
最後に、現在落合が籍を置くALPHAS.EXEにも少しだけ触れておきたい。国内では鮫島宗一郎、SAITAMA ALPHASの名前で活動する世界では落合が中心となり、運営面も含めたチームの体制を選手主体で整えているところだ。5人制の越谷アルファーズと落合は、3×3で世界と戦うためにバスケットに打ち込める環境を求めた10年前からの縁。今回のチーム誕生も落合の存在ありきという側面があり、両立の意志を尊重してくれたクラブへの感謝を胸に、3×3で得た成長を越谷に還元したいという想いは非常に強い。このBリーグのシーズンオフ期間も8月中旬以降は平日に5人制のチーム練習に参加する中、SAITAMA ALPHASで既に複数回の海外遠征をこなし、帰国すれば3×3.EXE PREMIERに出場と息をつく暇もないが、本人は使命感と責任感で充実した日々だと胸を張る。