桂は起業にあたって最初にグラフィックデザイナーのMQ氏に声をかけ、マーケティングに精通した長田新子氏も迎え入れている。会社として「女性を取り巻くスポーツの環境をリデザインする」ことをミッションに掲げており、バスケットを基軸とした様々な事業を展開していく予定だ。ただ、ここでまずフォーカスしたいのはやはりDüsseldorf ZOOSの活動であり、桂はこの部分でもスペシャリストを招聘している。国内で3x3ビジネスに深く携わってきた安田美希子氏に海外組織との連携を一任。その安田氏によるFIBAとの交渉を足掛かりに3x3 Düsseldorf(ドイツ)と提携するに至り、Düsseldorf ZOOSの誕生となった。そして、チームの拠点となるデュッセルドルフでの活動は、3x3 Düsseldorfの仕切り役であるEmre Atsür氏がローカルマネージャーとして、日常生活も含めて全面的にバックアップする。
選手に関しても、ドイツバスケットボール協会が3x3 代表候補として選抜した12人の中から3人が合流。直近の2021-22シーズンにドイツリーグで対戦した安間志織が太鼓判を押したガードなど、期待できる選手ばかりだ。そして日本からは、BEEFMAN.EXEで桂と共闘し、3x3.EXE PREMIER優勝をともに味わった前田有香が加わった。
前田は2015-16シーズンまで9シーズンにわたってWリーグでプレーした選手だが、歩んだ道のりは違えど、桂と同様に3x3との出会いで人生に選択肢が増え、3x3に自身の未来を託した1人。桂は前田について「一緒に世界を目指したいと思えた人。喋るのが得意じゃないし、あまり表に立ちたがらない人なんですけど(笑)、今後の日本の3x3を競技の面で支えていく人だと思ってます」とその存在の大きさを語るが、前田自身も「5年前に始めた当初から、クラブとして世界と戦う男子を見てきて憧れや魅力を感じてきた。葵が作り上げたこのプロジェクトに感謝したいです」と桂に敬意を表し、目標の舞台に到達した喜びをにじませる。
「5人制を引退したときは、もうバスケットから離れようと思っていました。その時点ではその後のことは何も考えていなくて、そのままの流れで社会人をやっていたんですけど、その生活がつまらなくなってきたタイミングで3x3の選手を探しているという話がきて、ちょっと面白そうだからやってみようという程度の入り方だったんです。でも、取り組む人が増えて競技力が上がり、勝てなくなっていったりしたことで再びバスケットに対する情熱が出てきて、今はもう競技として5人制と違う部分を追求したいという気持ちがずっと続いている状態です」