ボールやフープがあれば、なんとなくやりたくなる気軽なスポーツに
3×3は正式種目であり、選手たちは今後のオリンピックを目指すことができる。魅了されたファンは、今後もオリンピックに向けて成長する選手たちを応援できる。だからこそ、東京オリンピックがゴールではなく、さらに3×3を広めるきっかけとしなければならない。安田さんは、その先をしっかりと見据えていた。
「私一人の力ではどうにもならないので、やはり日本バスケットボール協会の皆さまの力や全国のプレーヤー、今まで関わって来た人たちと引き続き、やる場所・見る場所・関わる場所を恒常的に増やしていく必要があると思っています。かつ、それをひとつの団体が独占するのではなく、みんながやれるような環境にしていかなければいけないとも思っています。スペースがあり、フープとボールが1つずつあれば、誰でも簡単にできてしまうのが3×3の良いところです。個人的には3×3.EXE PREMIERというトップリーグの立ち上げに関わったので、上を引っ張るのもひとつの方法だと感じています。一方で、それとともに、裾野を広げていくことも同じスピードで進めなければついてこないと思っています。若い人たちだけではなく、ボールやフープがあればなんとなくやりたくなるという私のように昔バスケをしていた人たちにも、気軽にプレーできる環境や支える環境、また私のように運営で関わる人などを増やしていく取り組みはこれからも続けていきたいです」
FIBAからの信頼が厚い安田さんだからこそ、東京オリンピック後は世界に活躍を広げることもできるだろう。3×3にとっても、日本のバスケットボール界にとっても、東京オリンピックから大きなうねりが起きて欲しいと願う。
「FIBAとは、東京オリンピックをきっかけになおさら強い関係性を築いてきました。東京オリンピックが終わったらソッポを向かれないようにしなければなりません。特に女子がオリンピック予選で世界に向けて素晴らしいインパクトを与えたように、私たちも引き続き強い選手の輩出に向けてサポートしながら、グラスルーツの普及活動にも力を入れたいです。パリ、LAと続くオリンピックにつなげていくことも大事です。日本で盛り上がってきたこの機運を維持させるためにどうすれば良いか、今後も考えていきたいです」
3×3は7月24日よりスタートし、4日後の7月28日にはメダリストが決まる。たった5日間しかないスケジュールだが、そこに向けて最大限の努力や工夫をしながら準備する人たちもまた、日本を代表するオリンピアンとして称えたい。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
3×3バスケットボール種別マネージャー 安田美希子
東京オリンピックから歴史を刻む新種目『3×3バスケットボール』妥協なき準備の舞台裏
【前編】 https://bbspirits.com/other/3×3/3×21071601/
【中編】 https://bbspirits.com/other/3×3/3×21071901/
【後編】 https://bbspirits.com/other/3×3/3×21072001/
文・写真 泉誠一
写真提供 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会