大神氏自身は、5人制で長きに渡って日の丸を背負って戦って来た。「その日本代表は逆算して、大会までの準備期間をしっかり確保し、海外遠征やナショナルトレーニングセンターで合宿します。しかし3×3は正直、2日前に集合して結果を求められる場所であり、選手だけが悔しい思いをしているとすごく感じていました」と3×3の現状を自らの体験と比較する。
「バスケは経験のスポーツと言われていますが、本当にそのとおりです。反復練習できる機会や経験する場を作ってあげずに、結果に対して選手だけの責任にするのはかわいそうだと思います。5人制から挑戦してきている選手は、その日常をぶっ壊して参加しており、それこそが挑戦です。そういう恐怖心を取り除いてあげるのもこういう機会です。それを誰が作るのか、どこが作るのか。それに挑戦するかどうかは選手の自由ですが、そういう場はあるべきだと自分は思います」
大神氏の3×3に対する熱い思いがきっかけとなり、国際大会を誘致する原動力になった。
ホームの声援に感謝──東京オリンピックへ向けたシミュレーション
これまではアウェーでの戦いが続いた日本代表選手たちだが、東京大会は感謝の気持ちでいっぱいだった。三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)は「シュートが入る度に盛り上がり、一体感がありました。来年のオリンピックが楽しみになりました」と言えば、篠崎も「日本のファンの前でプレーできたことがうれしかったです。オリンピックに向けても良い練習になりました」とはじめてのホームゲームは、東京オリンピックへ向けたシミュレーションとしても活用された。
「東京オリンピックから新種目となり、まだまだ歴史が浅いスポーツです。なによりも5人制から3×3に挑戦してきた選手が今回、日本で国際大会をさせてもらえたことはステップのひとつに過ぎません。今回、はじめて見た方もたくさんいたと思うので、その方たちの感想をぜひ聞いてみたいのが今の率直な思いです」と大神氏は一歩を踏み出したからこそ、この経験をもとにさらなる前進に意欲を見せる。