世界に勝つための日本のスタイル確立を目指す
「ファイナルということで、やっぱりみんなのモチベーションや意気込みも普段とは違っていました。その中で、自分のやるべきことはしっかり出し切りたいと思って臨み、最後はそれが出せて良かったと思っています」
女子3×3「3W」(トリプルダブル)FINALでチャンピオンに輝いたREXAKTの前田有香は、安堵の表情を浮かべた。
この週末には中国・長沙にてアジアカップが行われ、3×3女子日本代表チームは見事に銅メダルを獲得。1年前、日の丸を背負って同大会に出場したのは前田であり、同じREXAKTの名木洋子と石川麻衣だった(※成績はアジア4位)。REXAKTが3Wを優勝したことで、前田は5月25日現在のFIBAランキングで47位となり、山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス/48位)を抜いて日本人トップに立った。
前田はこれまでも、日本の女子3×3シーンを引っ張っていく覚悟を語ってくれた。今年のアジアカップはWリーグの現役選手4人が選ばれ、日本代表選考から漏れたが「そこで終わりではない」。悔しさとともに「もっと3×3ならではの戦い方を、国内で試合をしながら追求していこう」とこの競技に専念していることにプライドを持ち、世界に勝つための日本のスタイルを確立している最中だ。
昨秋から3Wが開幕され、女子3×3の環境ができたことは確実に強化の場になっている。実際、Wリーグ経験者以外の選手たちも臆することなく台頭に戦えるようになり、そのレベルは上がっていた。前田もそれをひしひしと感じており、「3Wができたことでみんなが参加するようになり、そこで私たちに挑んでくる姿勢が見えていました」。実際に苦汁を飲まされたこともあったが、それでもシーズン最多となる6回の優勝を誇り、FINALもしっかり勝ち切ったことで強さを証明している。
元日本代表であり、Wリーグで戦ってきたプライドを胸に、「私たちも負けてはいけないとすごく思っていました。そのぶつかり合いが女子3×3の底上げとなり、3Wを通じてできたとすごく感じています。ポイントだけではなく、技術面も向上することができるリーグだったと実感しています」と意義あるファーストシーズンでもあった。ファウルの基準が5人制よりも緩い3×3ゆえに、荒削りでも問題ない。戦う気持ちさえあれば、たった10分間でこれまでの実績をひっくり返すことだって可能だ。だが、前田は言う。