Text by Hiroyuki Ohashi / Photo by Tomikazu Narukami
先日紹介した『第2回3×3日本選手権』(主催:公益財団法人 日本バスケットボール協会)のOPENカテゴリー男子に続いて、今回は同カテゴリーの女子を振り返ってみたい。
http://bbspirits.com/interview/20160331_3x3/
OPENカテゴリー女子の部には、昨年より7チーム増の29チームが出場。26日に予選リーグ(以下予選L)が行われ、勝ち上がった15チームが、27日の決勝トーナメント(以下、決勝T)で頂点を目指した。決勝では、初出場ながら準決勝で初代女王の勉族(千葉)を破ったQUEEN BEE(千葉)が、2度目の出場となるFLAPPERS(長野)を19-12で破り、初優勝。最優秀選手(以下、MVP)には#13榎本が選出された。3×3女子日本一の称号は、2年連続で千葉県勢が勝ち取った。
■決勝までのタフな道のり
QUEEN BEEは3月19日から21日に、愛媛県で行われた全国クラブバスケットボール選手権(以下、全クラ)に出場してベスト8に進出。中5日、疲れも残る万全のコンディションではない状況ながら予選Lに臨んだ。
ノックアウト勝ちで2勝はしたものの、3×3 TOURNAMENT.EXE SPRING FINAL(2015年5月)で優勝したSWAT(愛知)には14-20で敗戦。それでも2位通過で決勝Tに進むと、初戦でBIG UP(東京)に21-9で快勝すると、準々決勝でもOSAKA CHEET AH’S4(大阪)を18-13で破った。続く準決勝では、前年度優勝の勉族(千葉)との同県対決を21-17で制して決勝にたどりついた。
対するFLAPPERS(長野)は他の予選Lより1試合多い4試合を戦った。OSAKA CHEET AH’S4と13-12という接戦もありながら、4戦無敗で初日を乗り切ると、決勝Tでは栃銀クラブ(栃木)に22-10でノックアウト勝ちを収める。
そして準決勝では、TEAM-S(神奈川)と対戦。元5人制女子日本代表で、3人制やストリートで存在感を放つ#40立川を擁する難敵を20-17で下した。立ち上がりのリードから一転、残り2分を切って14-15と試合をひっくり返されるが、終盤に#22松澤や♯32黒岩のフリースローで再逆転して逃げ切り、決勝へ駒を進めた。
■新女王の誕生へ
決勝の立ち上がりはFLAPPERS#19宇羽野が2本の2Pシュートを決めると、守備でも相手からボールを奪うナイスディフェンス。開始3分を過ぎて6-4とリードを奪う。しかし、QUEEN BEEも#13榎本のバスケットカウントで追いつくと、インサイドアウトから#8野田がジャンプシュートを決めるなど徐々に力を発揮。中盤からシュートが落ち始めた相手に対して、#3浅羽が個人技で崩し、ルーズボールをつないでレイアップを決めると、榎本もドライブで続く。
残り2分を切り15-10と5点差をつける。FLAPPERS♯32黒岩や宇羽野の外角攻勢にも得点を許さず、タイムアップ。新女王が誕生した。
初出場で頂点まで駆け上がったQUEEN BEE。大会前は「全クラ後に凹みすぎて(全クラでは優勝したチームに準々決勝で敗退)、バスケをしていなかった。みんな体調不良だったこともあり、3×3に出るのも初めてだった」(浅羽)とチーム状態は良くなかった。3人で臨んだ予選(♯44佃が不在)もSWATに敗れて、「ウチらもう駄目だ。3×3に向いていない」とみんなで思ってしまったそうだ。それでも4人揃った決勝Tでは着実に勝ち上がり、準決勝では県内で顔を合わせる選手が多い勉族を撃破。「勉族に勝てると思っていなかった。勝ったからには勉族に優勝しないと申し訳ない」(榎本)と、大一番を制したことが、チームにとって非常に大きく作用した。
そしてMVPに選ばれた榎本。「バスケットの経歴がないんですよ」と高校や大学で目立った実績がないと振り返るも、「いつもの練習でいろいろ上手くなったよね」と仲間を見ながらクラブチームでの成長を感じていた。チームメイトの佃も「大人になってから上手くなったのですよ」と褒めるように、大学卒業後もバスケが好きで、プレーを続けたことで、彼女のバスケットボールキャリアに“日本選手権MVP”という大きな華がひとつ咲いた。
■先輩たちに連れられて
一方、決勝で敗れはしたが2位となり、試合後は終始笑顔が印象的だったFLAPPERS。#13行田、松澤、黒岩の3人が同じクラブチームでプレーしており、この大会に向けて「勝ちにいこうと思って助っ人を入れました」(黒岩)と、宇羽野が加わった。先輩3人に「長野の宝。エースです」といじられながらも彼女は、その表現通り思い切りのいいシュートやディフェンスでチームを牽引した。「3×3はやったことがなかったんです」と本人は話すものの、先輩たちとともにコートで輝きをみせた。
■男子に負けない女子の伸び代
第1回大会以上のチームが集まった今年の3×3日本選手権。2年連続の出場チームや3×3 TOURNAMENT.EXEで腕を磨く選手が目立つようになってきたが、男子に比べると初めてプレーする選手やチームが多い状況だ。ルールやジャッジに慣れないこともあっただろう。ただQUEEN BEEのように結果を残したチームもあるだけに、3×3という新しいバスケットボールはまだまだ伸び代十分だ。今後も全クラ出場チームのエントリーや、WJBL経験者などの参加が増え、女子3×3シーンがますます広がり、より盛り上がっていくことを期待したい。