Text by Hiroyuki Ohashi / Photo by Tomikazu Narukami
3月25日から3日間に渡って東京都大田区の大田総合体育館、ヤマトフォーラムで第2回3×3日本選手権(主催:公益財団法人 日本バスケットボール協会)が開催された。OPENカテゴリー男子の部では、26日に予選リーグ(以下予選)が行われ、勝ち上がった20チームが、27日の決勝トーナメント(以下決勝T)で頂点を目指した。
優勝チームには「FIBA 3×3 World Tour Mastersアジア・オセアニア大陸予選」への出場権が与えられるという世界へつながる今大会、注目の決勝戦は昨年度覇者のRBC東京(東京)と、昨年度の3×3 PREMIER.EXEで総合2位となったTRYHOOP OKAYAMA.EXEの選手が主体となったHOOPS(岡山)が激突。終盤までもつれた試合は、RBC東京が21-20で接戦をモノにして大会2連覇を飾った。
そして、最優秀選手に選出されたのはRBC東京の#1野呂竜比人。決勝戦ではチーム最年少ながら、点差が離れかけた場面でリングへの力強いドライブで悪い流れを食い止め、残り3分を切って同点に追いつく2Pシュートを決めるなど、内外角からビックプレーを連発して、連覇の原動力となった。
FIBA(国際バスケットボール連盟)の制裁解除によって、「ストリートから世界へ」が体現された今年の日本選手権は、全国から40チームが集まり、凌ぎを削った。決勝の舞台に立った両チームに焦点を当てて大会を振り返ってみよう。
■「ノックアウト」するかされるか紙一重!
RBC東京は昨年度の優勝メンバーと同じく野呂、#6安藤(毅)、#7鈴木、#92小松の布陣で出場し、予選を3戦全勝(1位)で通過した。決勝Tは2回戦からの登場となり、元SUNDAY CREWの安藤(正)が立ち上げた3×3 CBJ(愛知)を立ち上がりの外角攻勢により21-14で破ると、準々決勝ではBASTARD(新潟)を22-10で圧倒。
準決勝では、アグレッシブにリングを狙う♯27柴田を中心としたSOMECITY TOKYOのレギュラーチーム・SIMON(東京)に序盤から主導権を握り、22-13で危なげなく勝利を収めた。
一方、HOOPSはTRYHOOP OKAYAMA.EXEのオーナーである中島氏(♯39)に、#8松本、#22比留木、#26李の大型ラインナップで参戦。予選を無傷で勝ち抜き、決勝Tの初戦では3×3で経験豊富なTOKYO BEAST(埼玉)を21-11で退けた。続くKagoshima BLAX Team-X(鹿児島)との準々決勝も21-12で快勝すると、準決勝ではDEAD SERIOUS CREW(青森)と対戦。昨年のPREMIER.EXEで新規チームながら総合3位のBREX.EXEに所属した#9長谷川、#10高崎、#11田中を揃える難敵に高さを活かして終盤で勝ち越した。
そして観客の熱い視線が注がれた大会最後の10分間は、まずHOOPSが先行した。比留木がインサイドにアウトサイドに多彩なオフェンスで得点を挙げ、要所で松本が外から決めると、李もリバウンドをもぎ取る。
しかしRBC東京は点差が開きそうになると、野呂がドライブをねじ込み、小松のキックアウトパスを受けて外角シュートを沈めて食らいつく。残り4分を切って鈴木のシュートに当たりが出ると、野呂の2Pシュートも追い風となり、20-19とリードして終盤へ突入した。
ところが残り1分31秒、鈴木が比留木に対して痛恨のファウル。2本のフリースロー献上で絶体絶命のピンチを迎える(21点先取でノックアウト勝ち)。それでも2本目が失投に終わり首の皮一枚つながると、鈴木がリングへ果敢にアタックしてフリースローを取り返す。プレッシャーのかかる中、落ち着いて沈めて、大接戦に終止符を打った。
■メンタル面の成長で大きく飛躍
この結果により、RBC東京は3×3の無敗記録を更新した。昨年の同大会優勝を皮切りに、3×3 TOURNAMENT.EXE UTSUNOMIYA(15年7月)と3×3 TOURNANET.EXE SUMMER SEASON FINAL(15年9月)を制しており、1年間負けていない。鈴木と小松の3×3日本代表候補選手の存在が大きいが、今大会の制覇は最優秀選手に選ばれた野呂の活躍なくして語れない。本人も「昨年、PREMIERに出たことで、自分で良い感じに(3×3でのプレーが)つかめてきました。(シーズンが終わって)RBCに帰ったときにもっと上手くなりたいし、世界に向けて戦いたいという気持ちがふつふつと芽生えてきて、自分のやるべきことはなにか考え、トレーニングだったり、シューティングを打ち込んだりしたことが、徐々に結果につながってきたことが嬉しいです」と、自らの成長が結果へつながったことに喜びと手応えを感じていた。
また「一番自由に(プレーを)やらせてもらっているので、得点が取れないときに自分がやらないと駄目だなと(思っています)。リーダーシップをとって、(鈴木)慶太さんも小松さんも安藤さんも全員信じて(プレーしました)」と、チーム最年少ながらも、成長に裏打ちされた気持ちの強さが大きかった。
チームメイトの鈴木も野呂について「もともと実力もあるし、体格的にも恵まれていて、シュート力もある。できることが多かったけど、精神的に変わったなと思うのは“オレがオレが”という独り善がりではなく、自分がもっとやらなきゃと思って、全面的に(気持ちを)出すようになったところ。それが上手くはまったときは今日みたいに活躍してくれるし、ホント成長したなと思いますよ」と内面の成長がチームの力になったことを話してくれた。若手の成長で底上げされた日本一のチームが、世界を相手にどこまで結果を残せるのか。今夏の活躍も注目していきたい。
■夏に向けて、ますます盛り上がる「3×3」
さて3×3は日本選手権を終えると、いよいよ国内最高峰リーグPREMIER.EXEの開幕に向けて流れは加速する。また7月には「FIBA 3×3 World Tour Utsunomiya Masters」も控えており、例年以上に熱い夏がやってきそうだ。この2日間、FIBAで3×3の責任者を務めるAlex Sanchez氏も視察に訪れ、「力強いパートナーがFIBAおよびJBAにはいます。その中で過去のお台場と仙台での大会が成功した実績をつくってくれており、今年の宇都宮の大会もとても期待しています。またPREMIER.EXEも代表クラスの高いレベルの選手たちがいますし、JBAも普及活動を頑張ってくれていますから、流れは非常に良いと思っています」と、日本の3×3シーンの発展に期待を寄せた。今年は、2020年東京五輪での正式種目採用を目指す、このバスケットボールの新種目のさらなる盛り上がりがやってくるだろう。
第2回3×3日本選手権オフィシャルサイト ⇒http://3x3japanchampionships2016.japanbasketball.jp/
3×3.EXEオフィシャルサイト ⇒ http://exe.3x3league.com/