※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2017年5月発行vol.9からの転載
2003年に男子日本代表候補として初選出されて以来、その中心へと着実に歩を進めてきた竹内譲次。一昨年(2015年)、ついにアジア選手権でベスト4という結果を残し、昨年(2016年)はオリンピック世界最終予選(以下、OQT)に出場、2006年の世界選手権以来の“対世界”も経験している。その経緯はしかし、彼がベテランの域に足を踏み入れている時間の推移も、同時に示している。6月3日に開幕する「東アジアバスケットボール選手権大会2017」(長野市)に向け、ベテランとなった竹内譲次に話を伺った。
アジャストの難しさもあるが、それをプラスに捉えている
――Bリーグのシーズン中に行われる重点強化合宿も4回目を迎えています。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC)のバスケットは浸透してきていますか?
浸透してきていると思います。彼のバスケット哲学があって、自分にとってそれはすごくわかりやすくて、頭の中にクエスチョンマークがつくこともなく取り組めています。今はヘッドコーチが望んでいるものに近いものを作り上げられるよう、一生懸命にやるだけです。
――パヴィチェヴィッチHCのバスケット哲学で、特に印象深く刻まれているものを教えてください。
ディフェンスです。考え方の8割がディフェンスで、ポジショニングや1対1、2対2での守り方、手の使い方、そして「不必要なヘルプはするな」といった細かいことまで指導されているのが印象に残っています。
――長谷川健志・前ヘッドコーチはどちらかといえばオフェンシブなバスケットを標榜していました。パヴィチェヴィッチHCのディフェンシブなバスケットへ変わることへの対応は難しくないですか?
今の代表活動はBリーグのシーズン中に月に1度、合宿をおこなう程度なので、求められることに対してすぐにアジャスト(対応)するのはもちろん難しいです。でも僕はそれをプラスに考えるようにしていて、ルカHCに教わったことで、こういうバスケットのやり方もあるのかと学びました。自分のバスケットに対する引き出しが増えたと思っているんです。
――OQTが終わったとき、「代表の中で自分の色が出せた」と話していました。今の代表で出すべき自分の色とはどんなものですか?
やはりディフェンスですね。前の代表ではある程度まとまった時間をコートに立つことが自分でもわかっていたし、そのなかでいかにオフェンスで自分の色を出すかを考えていました。長谷川さんのときは2〜3年のスパンでそういう色を見出したわけだけど、ルカのバスケットはまだ数か月、実質的なことをいえば数週間で、そこまでオーガナイズする時間が経っていません。それでも2月の札幌での国際強化試合(対イラン)のように、長い時間コートに立っていなくても、求められるディフェンスを表現することに重きを置こうと考えています。
――Bリーグの最中にこうした重点強化合宿があり、今後は試合なども入ってきます。そのことの難しさについてはどう思いますか?
僕としては違った刺激が入ることはいいことかなと思っています。毎週末Bリーグの試合を行うという同じ流れでやっていくよりは、合間に代表活動が入るなど刺激がある方が自分としてはいいですね。僕はもう10年国内リーグをやっていますし、その流れもわかっているので、自分でも知らず知らずのうちに緩んでいるところがあったりするんです。もちろん自分の性格もあるのでしょうけど、悪い慣れ、みたいなものが出てくることもあるんです。そういう意味でも今の代表活動はいい刺激になっています。