10月27日からタイ・バンコクで「第25回FIBAアジア女子バスケットボール選手権大会(以下、アジア選手権)」が開催される。この大会は来年9月末に開幕する「第17回FIBA女子バスケットボール世界選手権大会」の予選も兼ねていて、上位3位までに入れば世界選手権の出場権を得られる。大会を目前に控えたヘッドコーチ、選手のコメントを紹介する2回目は吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ/PG)。今や大神雄子と並んで日本の顔ともいうべき存在になった、日本が世界に誇るポイントガードは、先日の東アジア競技大会をどう感じ、アジア選手権をどう戦おうと考えているのか。
――まずは東アジア競技大会の感想と、チームの現状を聞かせてください。
吉田 中国に勝った翌日のチャイニーズ・タイペイ(以下、タイペイ)戦では気が緩んでしまったのか、自分たちのバスケットができず、ディフェンスが崩れて、オフェンスにうまく連動できませんでした。もちろんそこでの反省点を修正するために最終合宿に入ったわけですが、それでも内海ヘッドコーチから「今までやって来たことがブレてはいけない。しっかり目標を持って、みんなでひとつになってやらなければいけない」といった話をしていただきました。最終合宿の練習では、スクリメージにしろ、分解練習にしろ、それぞれの練習の中でディフェンスのルールを再確認したり、コミュニケーションもしっかり取れていて、今はすごく良い感じに仕上がってきています。今日のスクリメージでも、お互いのチームがやり合っていましたし、スタメンの5人だけではなく、相手をしてくれている選手たちにも押し上げてもらっているように感じます。まとまってきていると思います。
――東アジア競技大会は、アジア選手権直前であり、モチベーションやケガへの不安もあって、難しい大会だったと想像します。そのなかでも「これだけはやってはいけなかった」という悪い点はありましたか?
吉田 ディフェンスで、相手はこのプレイをしてくるからこれだけはやってはいけないという約束事があったにも関わらず、誰かの気が緩んだり、プレイを疎かにしているように見えたのは残念でした。チームで決められたルールを誰かひとりでもサボってしまえば、そこから穴ができて流れがつかめなくなってしまいます。このチームはディフェンスが上手くいけば、オフェンスも自然と良い流れにできるチームなので、ディフェンスで徹底するべきところはコートに立っている5人が徹底しなければいけません。悪かったのはそこだけだったと思います。
――逆に、難しい大会でも今後につながりそうな収穫はありましたか?
吉田 中国に勝てたのは、悪い流れの中でもベンチを含めて全員がガマンをしてディフェンスを頑張れたからで、その点は次につながるすごく良い経験になりました。自分たちのオフェンスがダメなときでも、ディフェンスを頑張って相手に得点をさせませんでしたし、ここはガマンの時間帯ということを、全員が把握できていたことはプラスだったと思います。