さて、執筆担当となった小生だが、ここまでだったら、誰でも書けるかもしれない。それでは担当に任じてくれた編集長や編集担当、ライター仲間に申し訳ない。ということで、別件で尽誠学園の色摩拓也コーチに取材したときのこぼれ話を紹介して、渡邊雄太への、来シーズンへのエールにしたいと思う。
色摩コーチは渡邊がアメリカに行くとなったとき、あの体格ではインサイドで通用しないと考え、ガードとしてのドリブルスキルや考え方を教えていたらしい。渡邊もそれをきちんと聞いて、練習に取り組んでいた。しかし彼は今、ガードではない。ラプターズのコーチが「ガードでの起用も考えた」というニュースもあったが、インサイドプレー中心ではないものの、高校時代と同じ4番(パワーフォワード)での起用が多い。
「NBAがやっと僕に追いついたなって」
色摩コーチが冗談交じりに笑う。
「この目標を達成したかったらその上に目標を置かないといけない、みたいなことがあるじゃないですか。全国大会に出場したかったら、全国で勝てるチームを作らなければいけないとか。そんな感じだったのかなと。NBAはすごいところだと思うんですけど、良い意味でNBAのことをあまり知らなかったので、渡邊は1番、2番でしか試合に出られないんだろうなと思っていて、そのスキルなどを教えていたら、全然4番で通用してるやんって」
尽誠学園での3年間があったからこそ、今の僕があると思う。渡邊はよくそんなことを口にする。高校の3年間でバスケットに取り組む姿勢や考え方、意志の持ち方を学んだことで、渡邊雄太は渡邊雄太らしく、渡邊雄太のままで、NBAの門をこじ開けたのだろう。これからも渡邊雄太らしく、僕らの知る渡邊雄太のままで、より高いところまで駆け上がってほしい。
でも、まずは馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)もツイートしていたように、来シーズンこそ八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とマッチアップしてくれ! 弊サイトのウィザーズ狂、I氏は八村を応援するだろうけど……。
※写真は2019年開催、第18回FIBAバスケットボール・ワールドカップでのもの
文 三上太
写真 安井麻実