ワールドカップ・アジア地区予選Window6まで1週間を切った。4連敗から6連勝というV字回復を辿り、2006年以来のワールドカップ出場まであと一歩に迫ったAKATSUKI FIVE男子日本代表。最終ロスターはまだ発表されていないが、Window6において得点面で期待されるのは日本代表の“エース”、比江島慎だ。
昨年8月にオーストラリアリーグ・NBLのブリスベン・ブレッツへ海外移籍したものの、出場機会をあまり得られないまま今年1月に退団。帰国後は栃木ブレックスの一員としてB.LEAGUEでプレーし、失われつつあったゲーム勘も戻してきている。
その比江島を先日、日本代表合宿で久々に間近で見たとき、少し驚いた。体が大きくなったように見えたのだ。彼の体をつぶさに見てきたストレングスコーチは「そんなことはないと思う」と言い、彼自身も意識して大きくしているわけではないと言うが、それでも「オーストラリアで体重が2キロくらい増えて、それを維持しています」と認める。そのおかげでディフェンスでは相手とのフィジカルコンタクトに負けず、しっかりと踏ん張れるようになったそうだ。
「オフェンスでは、これまではどちらかといえば“かわす”プレーばかりだったけど、今はもう少し体を使っていくプレーを練習しています。相手を飛ばせないというか、自分から体をぶつけてからシュートを打つイメージですね」
ディフェンスとの間合いや、攻められるスペースを素早く察知し、天性のボディコントロールとボールハンドリングでするりと抜けていく。そんな独特のリズムこそが比江島の魅力だったが、今は直線的とでも言おうか、フィジカルな攻撃パターンを練習しているというのだ。
そうした、いわゆる「ファウルをもらう技術」は以前から身につけたいと思っていたと比江島は明かす。もちろんこれまでもファウルをもらうことはあった。しかしそれは自分が意識して「もらう」というよりも、ディフェンスがファウルを「してしまった」という感覚に近い。逆にファウルを「もらった」と思う接触では、オフェンスとディフェンスがそれぞれのポジションの中で競り合い、オフェンス側――ここでいえば比江島自らが体勢を崩したためにファウルにならないと判断されることのほうが多かった。