21-20、奇跡に等しい逆転勝利を収めた男子日本代表も2連勝し、決勝トーナメント進出に大きく近づいた ── と思われた。
先に2勝していた女子日本代表は、ブラジルとの予選リーグ最終戦。3人での戦いを余儀なくされたが、この日は1試合のみ。勝てば当然だが、敗れても決勝トーナメント進出の望みはある。もし、3チームが2勝1敗で並んだ場合は総得点数の勝負となり、そのためには17点が必要だった。交代なき戦いは体力を削られ、普段であれば決められたはずのイージーシュートがリングからこぼれる。ロースコアに抑えて守り勝つバスケはできていた。しかし、12-13であと一歩及ばず、17点にも届かずに敗れる。ドイツとブラジルが2勝1敗で並び、総得点数差で3位となった女子日本代表の予選敗退が決まった。
男子日本代表も同様に、13点を挙げれば負けても先へ進むことができる。その情報は試合前の選手たちにも伝わっていた。相手はフランス。開催国枠での出場権は世界ランキング3位の女子に与えられ、予選を勝ち進まねばならない意地がある。効果的に2ポイントシュートを沈め、先に21点を決めたフランスが勝利。日本は2ポイントシュートを9本放ったが保岡の1本しか決められず、10点に終わる。同時に、この戦いの終わりを告げた。
舞台をハンガリーへ移し、3/16の戦いへ
オリンピック出場を懸けた1/8の狭き門は通れなかったが、敗れし者たちにまだチャンスが残っている。5月16日から舞台をハンガリーへ移し、オリンピック最終予選が待っている。16チームが出場し、最後の3枚の切符に望みを託す。女子日本代表の高田は、3×3をはじめてまだ1年余り。このタフな戦いを経験したことで、敗れた中にも手応えを感じていた。
「1年間を通して安定してできたプレーはドライブであり、そこで決めきる力をもっとつけたら、もっとチームの勝利につながります。逆に、2ポイントは波があるので、そこを安定して決められれば絶対に世界で勝つことはできると思います。3×3をはじめたばかりの昨年は、思いっきりプレーしながら楽しい気持ちがありました。でも、今大会はパリオリンピックの切符も意識してしまい、プレッシャーに勝ち切れないメンタルの弱さが出てしまいました。3×3はすごく楽しいスポーツです。楽しめば、結果もついてくると思うので、初心に返って楽しみながら勢いをよく思いっきりプレーできるようにしたいです」
男子日本代表を引っ張る落合は今大会がはじまる前、「楽しもうぜ!日本で試合ができる機会もないから」と声をかけ、仲間たちをリラックスさせた。3×3の楽しく、そして激しい。この大会を通じて、日本が世界に勝つチャンスがあることも実感できた。3/16と確率が上がるオリンピック世界最終予選への期待が高まる。
文・写真 泉誠一