今大会、男子で初出場を果たしたのは50チーム中5チーム、女子は50チーム中4チームと約一割。そのうち、今夏のインターハイに6チームが出場しており、残り3チーム(男子:長野代表・佐久長聖、大阪代表・星翔、女子:鳥取代表・県立米子商)にとっては、本当に初の(あるいは久々の!?)全国大会ということになろう。
佐久長聖の養田達也コーチは今大会最年少の24歳。東海大相模でインターハイに出場し、東海大でも主力の一人として活躍した。同期には多嶋朝飛(NBL・レバンガ北海道)や遥 天翼(NBL・三菱電機名古屋)らがおり、彼自身も地味ながら(!?)実力派として大学バスケファンによく知られていた。
迎えた初戦は10回目の出場となる県立佐賀東。第1ピリオドは接戦だったものの、その後は点差を広げられ、63-88で敗れ初陣を飾ることはできなかった。だが、誰よりもベンチで声を張り上げ、選手を鼓舞し続ける姿からは一生懸命さが伝わってきた。バスケに対する思いの強さは、伝統を創り上げる源になるはずだ。
コートに立ち続ける75歳の名将も。
24歳の若手コーチが采配を振るう一方、女子のコートには70歳代のベテランコーチがいた。千葉英和の森村義和コーチは75歳と今大会最年長(今大会オフィシャルサイトに詳報)。もう一人、札幌山の手の上島コーチも70歳。ちなみに男子は土浦日大の佐藤豊コーチ(66歳)が最年長。二度目、いや三度目(!?)の復帰で日本の将来を担う高校生たちの育成に力を注いでいる。
選手としては高校生でなければ、この晴れ舞台に立てないがコーチは別。24歳の養田コーチはあと何回、何十回もそのチャンスがあるだろう。全国大会に出場するのは簡単なことではないが、情熱を傾け続ける限り可能性は広がっていく。養田コーチに続こうという若手コーチもたくさんいる。先人たちは背中はまだまだ遠いかも知れない。
どのカテゴリーであれ、どのジャンルであれ、“バスケファンがバスケを応援し続け、バスケを盛り上げ続ける”ことが日本のバスケの礎になる。そのことを忘れないでいよう。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。