3連覇を狙う東海大のベンチを預かるのは、元日本代表の陸川 章ヘッドコーチ。筑波大の吉田 健司ヘッドコーチは東芝を日本一に導き、日本代表を率いたキャリアの持ち主だ。今年の学生日本一を決める『第66回全日本大学選手権大会』は、11月30日(日)に決勝戦を迎えた。
お互い硬さが目立つ立ち上がりだったが、筑波大がスーパールーキー#6馬場 雄大(1年/富山第一高)のファーストブレイクで先制。その後も相手のミスを誘うディフェンスでチャンスをつくり、連続得点で序盤を8-0とリードした。最後の最後まで、このリードが勝敗を分けることになった
第1Pの東海大は、0点のままたまらずタイムアウト。東海大の初得点は試合開始から5分以上が過ぎてからで、タイムアウト後、ようやく#45頓宮 裕人(3年/東山高)がインサイドでシュートを決める。そこから反撃を開始し、今度は東海大が6連続得点。再びこう着状態が続いたが、残り1分24秒に筑波大のシューター#14坂東 拓(4年/北陸高)、#17杉浦 佑成(1年/福岡大大濠高)がミドルシュートを決め、12-6とリードを広げて第1P終了。
第2Pは積極的な東海大がアタックを仕掛けた。ゴール下へ走り込んだ#13中山 拓哉(2年/東海大相模高)が#10バランスキー・ザック(4年/東海大三高)からのパスを受けて得点し、スコアが動く。積極的にシュートを狙うもののなかなかシュートが決まらない東海大だが粘ってボールをつなぎ、#8藤永 佳昭(4年/北陸高)がシュートを決め、10-12と追い上げた。
ところが中盤からは再び筑波大のペースに。キャプテン#21笹山 貴哉(4年/洛南高)の巧みなシュートなどで得点すれば、ディフェンスではダブルチームを仕掛けるなど、アグレッシブな攻守を見せ、30-19と筑波大がリードしたまま後半へ。
このままでは引き下がれない東海大。第3Pは出だしからスパートする。#7晴山 ケビン(4年/盛岡市立高)の3Pから連続得点を決め、26-30と4点差に縮めた。その後も#0ベンドラメ 礼生(3年/延岡学園高)らが攻撃的なプレイを披露する。開始6分21秒には#35伊藤 達哉(2年/洛南高)からのパスがゴール下の#0ベンドラメに通り、シュートを決めて30-30の同点に追いついた。
得点が欲しい筑波大は#6馬場がシュートを決めものの、その後は一進一退の展開。42-39という僅差ながら、筑波大がリードを守って最終ピリオドを迎えた。
第4Pに入ってもお互いのディフェンスを崩し切れず、思ったように得点が伸びない両チーム。こうなるとミスをしたほうが負ける。緊張感があり、ヘッドコーチの指示を守ろうと精一杯のプレイを両チームの激突は見応えがあった。
開始3分30秒には筑波大が再び10点差にするが、追いすがる東海大は#35伊藤のドライブインが決まる。残り4分を切って筑波大49-45東海大と4点差。焦りからかシュートが決まらない東海大に対し、筑波大は#21笹山がチームを支え、相手ファウルで得たフリースローを確実に決めてリードを保った。最後は#21笹山のシュートが決まり、67-57。筑波大が61年ぶり2度目の優勝を決めた(前回は東京教育大時代で、第5回大会で優勝)。
4年生の笹山が22得点でしっかりチームを支え、ビッグルーキー、#6馬場、#17杉浦が2人で27得点17リバウンドとその実力を発揮した筑波大。今後はトップランナーとして、連覇を目指すことになる。チームの大黒柱、センター#21橋本 晃佑(3年/宇都宮工高)を欠きながらFINALを戦った東海大はリベンジに燃えるだろう。大学バスケがますます面白くなりそうだ。
最終順位
男子
1位:筑波大
2位:東海大
3位:大東文化大
4位:拓殖大
5位:国士舘大
6位:明治大
7位:近畿大
8位:慶応大
女子
1位:早稲田大
2位:白鴎大
3位:東京医療保険大
4位:大阪体育大
5位:大阪人間科学大
6位:西南女学院大
7位:筑波大
8位:順天堂大
=余談ですが=
TV中継(BSフジのライブ放送)の録画を観ていたら、解説の北原氏、河内氏(明治大学の同期でインカレ3連覇を経験)が、「4年生のインカレで対戦した法政大学のセンターが馬場選手のお父さんでした」というエピソードを披露していた。
そう、いつの時代もバスケに青春を賭けるプレイヤーが躍動している。今回は同じ時期にNBADリーグのテキサス・レジェンズで富樫 勇樹選手(21歳)が、NCAADiv.Ⅰのジョージ・ワシントン大で渡邊 雄太選手が活躍中だ。他にも海外でチャレンジを続けるプレイヤーはたくさんいる。
次代を担うヤングスターたちのプレイが鮮烈であればあるほど、一日も早く不安を解消(FIBAの制裁を解除)しなければならないと思う。なかなか核心(確信!?)にたどり着けず、もどかしい思いをしながらも情報発信を続けること。そして、一人でも多くの人をバスケの試合会場へ誘うこと、それが今の使命だと痛感している。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。