競技人口は多いにもかかわらず、あまりテレビ等でバスケが取り上げられないのは、ファンとして悲しいことだ。
1976年モントリオール大会から、40年以上も出場できていない男子日本代表が、2020年の『東京五輪』自国開催枠での出場が認められるか否かは、未だ神のみぞ知る状況である…。しかし、2019年の『FIBAバスケットボール・ワールドカップ』に出場することができれば、そんな状況は変わるかもしれない…。
現在、FIBA(国際バスケットボール連盟)に加入している国と地域は214あり、FIFA(国際サッカー連盟)に加入している国と地域の211を超える規模にまで、急速に拡大していることはあまり知られていない。競技人口も5億人近くとサッカーの倍以上の数を誇り、世界で最も普及している競技と言っても過言ではない。
一方で、商業的に見るとまだまだサッカーのそれには及ばない。1つに『FIFAワールドカップ』の存在がある。世界総視聴者数は300億人、経済効果も1兆円規模をゆうに超える世界最大のスポーツイベント。サッカー人気が世界的に揺るがない理由は、まさにここにある。
ではバスケ市場が、商業的にサッカー市場と双璧を成すまでの”プロセス”とは?
近年におけるバスケットボール普及の原点は、1992年の『バルセロナ五輪』にある。マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソン、ラリー・バードら、当時のNBAスーパースターたちで構成された、通称「ドリームチーム」が米国代表として出場し、圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。
それから四半世紀。「NBAというリーグ自体の認知を世界的に確立すること(1990年代)」「世界各国の選手を受け入れグローバル化を加速させること(2000年代)」「デジタルマーケティングを積極採用し、バスケコンテンツを流布させること(2010年代)」というように、NBAを通じてバスケは、一歩ずつ商業的普及の段階を踏んできた。
次なる”プロセス”は何か?それは、『FIBAバスケットボール・ワールドカップの商業的成功』だろう。
五輪は総合競技大会たる所以から、出場にあたっての門が狭く、バスケの場合は男女それぞれ12ヶ国のみ。4年に1度且つ、出場国数が限られる世界大会では、商業的にこれ以上拡大させていくことは困難である。
FIBAは、2014年大会よりそれまでの『世界選手権』から『FIBAバスケットボール・ワールドカップ』にネーミングを変更。予選もホーム&アウェイ方式にレギュレーションを変更し、出場国数も男女それぞれ32ヶ国に増やし、サッカーのような権威のある大会にしていきたいと考えている。
バスケ男子日本代表の現在の世界ランキングは、48位とサッカー男子日本代表の60位というランキングよりも高い。(2018年5月末時点)にもかかわらず、国内メディアでバスケの取り扱いが少ないのは、今や『FIFAワールドカップ』に出場するということが、日本国民における1つのKPI(目標達成の基準値)になっているサッカーと比べて、こういった世界大会の商業規模の違いに因る部分が非常に大きいと感じる。『FIBAバスケットボール・ワールドカップ』のイベント価値が向上し、サッカーのように連日テレビ放映されるような時代になれば、国内におけるバスケの存在価値は大きく変わるだろう。
まさにいま、アジア予選を戦い抜いている日本代表「AKATSUKI FIVE」。日本におけるバスケの商業的価値を上げていくには、世界大会における彼らの活躍が不可欠。ここからが日本バスケ界成功の”プロセス”になる数年間。
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MAKE B-BALL MAJOR
文・平将貴
B.LEAGUE、NBA、日本代表、3×3、ストリート、学生バスケ。「すべてのバスケファンが集まるプラットフォームアプリ」 ”NATIONS” を運営する株式会社NATIONSの平将貴社長からスポーツビジネスの最前線にまつわる連載コラムの寄稿をいただきました。月1回更新予定。この記事はバスケットボールスピリッツフリーペーパーでの連載を転載しています。
株式会社NATIONS 代表取締役社長 平将貴
Twitter: @Masataka_Taira
グリーやメタップスなどITベンチャーでの幅広い経験を活かし、スポーツビジネスに参入。日本のバスケットボールビジネスを底上げすることをミッションとして奔走中
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写真・安井麻実